9月3日(日)JリーグYBCルヴァンカップ
浦和レッズ 2-2 セレッソ大阪 (18:34/埼玉/23,116人)
試合写真・コメントなど
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 JリーグYBCルヴァンカップのベスト8に駒を進めたセレッソ大阪は、8月30日(水)、まずはホームで浦和レッズとの準々決勝第1戦 に臨み、アウェイゴールを許さず、スコアレスドローで終えた。迎えた敵地での第2戦。結論から言えば、セレッソは前半に2点を先制し、後半は浦和に2点を返され2試合合計2-2となるも、アウェイゴールの差で上回り、クラブ史上初となるリーグカップ戦ベスト4進出を決めた。

 両チームともに第1戦から先発7人を入れ替えて臨んだこの試合。試合前日、「明日のメンバーは試合をご覧になってください」とニヤリと笑ったのは尹晶煥監督だったが、サプライズはケガから復帰したばかりの山村和也の先発起用だった。
 山村は試合3日前に全体練習に合流したばかりであったが、この試合に向けて、「離脱していた期間も早くやりたくて仕方なかった。自分としては、浦和との第2戦にも出られる」と話していた。そして、その山村が早速、大きな仕事をする。10分、丸橋祐介の蹴ったCKにマークを外してニアへ飛び込むと、相手より頭一つ高い打点でヘディングし、ファーサイドへ逸らす。マテイ ヨニッチが押し込み、セレッソが先制に成功した。
 もっとも、この得点の3分前には浦和に決定機も与えていた。遠藤航のフィードに裏へ走り込んだ興梠慎三が右足ダイレクトで合わせたが、シュートは丹野研太が阻んだ。第1戦でもスコアレスドローの立役者となった守護神が、第2戦の試合の流れも作った。

 先制後、セレッソはプレスの位置を落とし、構える形で浦和の攻撃をしのぐ。ボールは回されたが、中央は木本恭生と秋山大地のダブルボランチが締め、サイドからのクロスはマテイ ヨニッチが弾き返す。すると、前半終了間際の44分。木本の縦パスを受けた斧澤隼輝がターンして前を向くと、浦和DFはたまらずファウル。絶好の位置でFKを獲得すると、柿谷曜一朗と丸橋が並ぶ。柿谷が蹴ると見せかけ、一瞬、反応が遅れた浦和GK西川周作の隙を突き、鮮やかな軌道を描いた丸橋のキックがゴール右隅に吸い込まれた。セレッソが浦和を突き放す追加点を決め、理想的な形で前半を終えた。

 後半は一転して、勝ち上がるために最低でも3得点が必要になった浦和の猛攻を受ける。48分、興梠が起点となって右サイドへ展開されると、平川忠亮のクロスを後半から入った武藤雄樹にニアで合わせられ、失点。1点差に迫られた。続く50分にもカウンターからあわや失点の大ピンチ。ラファエル シルバに前線で起点を作られ、最後は平川にフリーでシュートを打たれたが、ここは丹野がすばらしい反応で防いだ。52分にも、西川のキックをラファエル シルバが収める同じ形からピンチを招くも、フィニッシュの場面では丹野とDFが懸命にブロック。失点は許さない。
 流れが一気に浦和に傾いた時間帯で、尹晶煥監督の決断は早かった。山下達也に代えてソウザを投入。このタイミングで、山村と木本をDFラインに下げて5-4-1にシステムを変え、堅守速攻の意思を明確にした。それでも、奪ったボールをうまくつなげず、セカンドボールを浦和に拾われ防戦一方の時間帯が続く。60分には興梠に裏を取られて決定機を作られたが、シュートはわずかにポストを外れた。70分にも、森脇のクロスを興梠が落としてラファエル シルバがシュート。これも決定的な形だったが、ここは山村がブロックした。それでも、セレッソはこのプレーで与えた浦和のCKから失点。71分、CKを興梠にヘディングで決められ、同点に追いつかれた。

 2-0から3失点して逆転負けを喫したJ1リーグ第21節・清水エスパルス戦 の悪夢が脳裏をよぎったが、「同点になった後、もう1回気を引き締めて『絶対にやられんとこう』とみんなで叫び合った」と、この試合でもキャプテンマークを巻いて奮闘した秋山が試合後に振り返ったように、準々決勝敗退を意味する3失点目だけは与えなかったセレッソ。84分には高木俊幸にカットインから強烈なシュートを打たれ、後半アディショナルタイムにも、遠藤のフィードから興梠に裏へ抜け出された。いずれも失点してもおかしくない場面だったが、ここでも丹野が立ちはだかった。そして、試合終了の笛。
 後半は浦和の攻撃を耐えに耐えたセレッソ。シュートは斧澤の1本に留まったが、前回大会の王者である浦和を振り切っての準決勝進出は大きな自信になった。準決勝の相手はガンバ大阪に決まった。「ガンバには今年はまだ勝てていない。リベンジするチャンスをもらえたと思うので、しっかりチャレンジして勝ちたい」という山村の言葉は、チーム全体の総意である。

文・小田尚史