9月9日(土)2017明治安田生命J1リーグ第25節
FC東京 1-4 セレッソ大阪 (19:03/味スタ/36,635人)
試合写真・コメントなど
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 再開されたJ1リーグ戦。FC東京の敵地に乗り込んだセレッソ大阪は、前半に幸先良く2点を先取すると、後半、1点を返されるも、その後、再び2点を追加して1-4で快勝。上位に食らいつくためにどうしても欲しかった勝点3を手にした。

 先発は、前節の鹿島アントラーズ戦から2人を変更。YBCルヴァンカップ準々決勝の第2戦に続き、山村和也がリーグ戦でも復帰し、前線の一角に入ると、CBは山下達也ではなく木本恭生がマテイ ヨニッチとコンビを組んだ。FIFAワールドカップロシア大会の最終予選を戦ってセレッソに帰還した山口蛍と杉本健勇、キム ジンヒョンも揃って先発に名を連ねた。

 試合開始からFC東京を圧倒したセレッソは、1分、相手のスローインに山口が猛然と襲い掛かると、山村がボールをカット。杉本へスルーパスを送ると、杉本が抜け出して中でパス。水沼宏太がシュートを放ち、最初のチャンスを迎えた。6分にも山村が高い位置でカットすると、山口、ソウザと渡り、ソウザのパスを杉本がスルー。左サイドから中へ入って来た柿谷曜一朗が決定機を迎えた。すると、勢いそのままにセレッソが先制点を奪った。11分、水沼がFC東京の左サイドの裏へパスを出すと、一旦はそのパスに立ち止まった松田陸だが、それでも諦めずにボールに詰めると、対応したFC東京のGK林彰洋と小川諒也がお見合い。ボールをかっさらった松田が無人のゴールに蹴り込んだ。試合後、「ごっつぁん(笑)」と振り返った松田だが、ホームでのFC東京戦と同様、古巣相手に強い気持ちで挑んだ2人から得点が生まれたことは偶然ではないだろう。

 その後の前半の時間帯で輝いたのは、柿谷。3バックにワンボランチという布陣のFC東京の守備の穴を突き、再三、サイドを突破。18分、21分、31分と柿谷を起点にセレッソが立て続けにチャンスを作ると、前半終了間際の44分、待望の追加点が生まれた。この試合、鋭い出足で何度もボールを奪っていた山口のカットが起点となり、柿谷、杉本とボールがつながり、杉本が右サイドへ展開。松田の落としを水沼がダイレクトで高速クロスを入れると、「蹴った瞬間に『絶対、入った』と思った」と本人も振り返った鋭い弾道の先にいたのは柿谷。ニアで杉本が競って流れたファーサイドで、見事にダイレクトボレーで合わせてネットを揺らした。

 何度かピンチもありながらも、FC東京の攻撃を単発に抑え、内容的にはセレッソが圧倒して終えた前半だったが、第19節のガンバ大阪戦以降、アウェイでの試合は先制するも、後半に失点して逆転負け、あるいは引き分けが続いているセレッソとしては、後半の戦い方こそ、真価が問われることになった。すると、後半開始早々、相手DFのフィードから永井謙佑に決定機まで持ち込まれると、55分にも再び永井に抜け出され、ループシュートを許す。56分、FC東京が2枚同時交代で前線に人数を増やすと、尹晶煥監督はすぐさま山村を最終ラインに落として、FC東京の3トップに対して3バックで対応。マンマークに近い形でFC東京の攻撃を抑えにかかる。前がかるFC東京に対して、セレッソの攻撃はカウンターが中心になる中、67分に決定機。松田のクロスのこぼれを拾った柿谷が水沼に丁寧に落とすも、水沼のシュートはポストを叩いた。この4分後、全体が下がったセレッソは、ゴール前に人はいるものの、相手を捕まえることができず、高萩洋次郎のパスからピーター ウタカに決められ、1点差に迫られた。

 決定機を逸して相手に得点を許す嫌な流れを断ち切ったのは、先日のサウジアラビア戦で日本代表デビューを果たしたばかりの杉本だった。79分、柿谷の絶妙なパスを受けてスペースへ抜け出した背番号9は、並走した水沼へのパスを選択せず、ドリブルでゴールを目指す。対応に来たDFをかわしかけた瞬間、倒されてPKを獲得すると、これを自ら蹴り込み、ピンク色に染まったアウェイゴール裏へ駆け寄った。「1点差になった後、もう1回、突き放せたのが大きかった」と柿谷も話す貴重な3点目がセレッソに生まれると、85分にはダメ押しの4点目。CKを蹴るソウザとのアイコンタクトでニアへ入った杉本へ、ソウザが狙い通りのボールを届けると、杉本がヘディングでゴール。この得点で勝負は決まった。

 試合後のミックスゾーンで、すれ違った大久保嘉人に「来たな、得点王」とエールを送られた杉本は、「(リーグ戦)あと9試合、出し切って、チームの結果も個人の結果も出していけるようにしたい」と引き締まった表情でスタジアムを後にした。順位を1つ上げて4位としたセレッソは、次節、再びアウェイでのサンフレッチェ広島戦に、一戦必勝の姿勢で臨む。

文・小田尚史