9月16日(土)2017明治安田生命J1リーグ第26節
サンフレッチェ広島 1-0 セレッソ大阪 (18:33/Eスタ/11,726人)
試合写真・コメントなど
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 ルヴァンカップ準決勝進出、そして、前節はリーグ戦4試合ぶりの勝利。失速した8月を経て、再び上昇気流に乗りかけたセレッソ大阪としては、是が非でも連勝で勝点を積み重ねたい一戦。今節のサンフレッチェ広島戦は、台風18号の接近による悪天候と、監督交代後に増している相手の守備力、この2つに打ち勝つ強さが求められた。もっとも、心配された台風18号による影響は、ほとんどなかった。試合開始前に雨こそ強まり始めたが、ピッチに水たまりを作るほどの量ではなく、スリッピーになった程度。風も吹きつけるほどの強さではなく、その影響は最小限に留まった。ただし、もう一つの壁、J2降格圏脱出に向けて気持ちの入った広島の守備は最後までこじ開けることはできず、セレッソは0-1で敗戦。首位・鹿島アントラーズとの勝点差は10に広がってしまった。

 試合開始早々、主導権を握ったのはセレッソ。相手陣内で試合を進めると。3分、5分と連続してチャンスを作る。前者は、相手のパスがズレたところをソウザが見逃さず、カット。素早く水沼宏太へ展開し、水沼のクロスに杉本健勇が合わせたが、シュートはミートしなかった。後者は、FWへのパスを山下達也がカット、つないだ柿谷曜一朗のカットインからのクロスに山村和也がヘディングで逸らすも、ここは惜しくもバーを越えた。この2つの場面で仕留め切れずにいると、10分過ぎからは広島にボールを持たれる時間も増えたセレッソだが、シュートまでは持ち込ませない。攻撃から守備への切り替えも速く、山口蛍やソウザのプレスバックでピンチを未然に防いだ。すると、39分、セレッソに決定機が訪れる。山口のパスカットから杉本、柿谷、丸橋祐介と渡り、丸橋がゴール前へ鋭いクロスを上げると、GKが弾いたところに杉本が詰めたが、シュートは広島DF高橋壮也に防がれた。前半終了間際には立て続けにCKを獲得したセレッソだが、このチャンスも生かせず、前半は押し気味に試合を進めながらも、広島の粘りの前に無得点で折り返すことになる。

 得点が欲しいセレッソは、後半、さらにギアを上げ、前への圧力を強める。46分、水沼が積極的にシュートを放てば、48分には、オーバーラップした松田陸がペナルティーエリア内に入ってシュートを放つも枠を外れた。59分には、杉本の落としが味方とズレたところを相手に拾われ、ショートカウンターから大ピンチを迎えたが、松田が戻り、カバーしたことで、事なきを得た。それでも、ボールは支配するものの、思うように打開できないセレッソは、前がかる分、相手に攻撃するスペースも与え、カウンターによるリスクは増した。すると、70分。恐れていたミスからのカウンターから失点。中央でのパス交換がズレ、青山敏弘に素早く前へ運ばれると、ゴール前でパトリックに起点を作られ、走り込んできたフェリペ シウバにシュートを決められた。

「どちらに転ぶかわからない」(山村)拮抗した展開で先手を許す苦しい展開に、80分、セレッソの尹晶煥監督はソウザに代えて木本恭生、山村に代えて澤上竜二の2枚同時替えを敢行するも、劇的な変化は訪れず。それでも、試合終盤は杉本が何度もゴールをこじ開けにかかり、同点まであと一歩に詰め寄る。84分、ペナルティーエリア手前で受けてターン、果敢にゴールに向かえば、直後には松田のクロスに飛び込むも、DFに挟まれて、シュートは打てず。90+1分には、山口のパスを受け、DFを背負いながらもかわして角度のないところからシュートを放ったが、GKに防がれた。

 結局、最後まで1点が遠かったセレッソ。杉本は両チーム最多のシュート6本を放つもこの日は決め切れず、11本を獲得したCKが合わなかったことも痛かった。「広島の選手たちより全ての面で劣っていた」と指揮官も認めざる得ない敗戦により、首位との勝点差は10に開いた。逆転優勝を狙う上で痛恨の1敗となったことは間違いない。それでも、リーグ戦残り8試合。「僕たちは勝つために一生懸命プレーするだけ」(杉本)「ここから1つ1つ勝って、少しでも勝点を積み重ねていきたい」(山村)と選手たちは前だけを見据える。20日に行われる天皇杯4回戦・名古屋グランパス戦を挟んで迎える次節のベガルタ仙台戦。今季いまだ負けなしのキンチョウスタジアムにて、仕切り直しを図りたい。

文・小田尚史