9月23日(土・祝)2017明治安田生命J1リーグ第27節
セレッソ大阪 1-4 ベガルタ仙台 (19:03/金鳥スタ/15,262人)
試合写真・コメントなど
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 約1カ月ぶり、そして、この9月唯一のホームゲームとなった、J1第27節。セレッソ大阪は、ここまで今季公式戦全勝中のキンチョウスタジアムにて、ベガルタ仙台を迎え撃った。リーグ戦前節の惜敗から巻き返し、ミッドウィークの天皇杯を勝ちきった流れをいかすべく、臨んだ一戦。先発には第26節サンフレッチェ広島戦と同じ顔ぶれが揃った。

 勝利への意気込みを表すかのように、セレッソは序盤から攻勢を仕掛ける。開始50秒で杉本健勇が相手ゴールを脅かすファーストシュートを放ったのを皮切りに、10分には柿谷曜一朗、24分には果敢な中央への攻撃参加を見せた丸橋祐介と杉本とのコンビプレー、28分にはソウザの強烈ミドルシュートなどで、決定機を作り続けていく。しかし、決め手に欠くなか、仙台の連動した攻撃に、次第にペースを狂わされる。すると、前半終了間際の42分、相手の両サイドを広く使った攻撃で攻め崩され、最後は仙台FW石原直樹にゴールを決められた。先手を取られた直後、山村和也にチャンスがくるも、シュートはゴールポストを叩き得点ならず。前半は1点のビハインドで折り返す。

「内容は悪くない。落ち着いていこう」、「ゴール前は、みんな冷静になろう」、「お互いを信じて戦おう」というハーフタイムでの尹晶煥監督の檄を受けたなか、後半も早々から、セレッソサポーターの大声援を力に、反撃に攻め出たセレッソ。47分、50分と、立て続けに山村にゴール前で好機が訪れるが、シュートはいずれも、この日、再三の好守を見せた仙台GK関憲太郎に阻まれてしまう。

 攻めてもゴールまで結び付かないもどかしさ。それが、「0-1で負けていて、みんなどうしても点を取りに行かなくちゃならないというところで、少しバランスを崩して攻撃に出ることが多かった。それで取られてカウンターというところも多かった」と山口蛍も振り返るような形になってしまうと、次の1点は、仙台に。相手のショートカウンターに対応しきれず、野津田岳人に決められてしまった。

 それでも、ホームでは絶対に負けるわけにはいかないという強い想いが、逆襲へと結び付く。木本恭生を投入した直後の74分だった。山村からボールを受けた杉本が、反転しながら右足で強烈なシュート。これは仙台GK関に阻まれるも、そのこぼれ球に詰めたのが、水沼宏太。まさに気迫で押し込み、1点を返した。

 さあ、これから逆転へ。そう意気込んだ矢先に、落とし穴が待っていた。わずか3分後、仙台のセットプレーの流れからだった。仙台の司令塔、梁勇基の絶妙ループクロスを、最後はDF椎橋慧也にヘディングシュートで流し込まれてしまい、再び2点差とされると、終了間際には再び相手のショートカウンターから失点。後半だけで13本、全体で20本のシュートで攻め立てながら、仙台に効果的にゴールを奪われたセレッソは、1-4という、今季最多失点で敗北。リーグ戦でも今季初の連敗を喫し、同日勝利した首位・鹿島アントラーズとの差は13に広がってしまった。

 1万5,262人の観衆で埋め尽くされたキンチョウスタジアム。「すごく大勢の方々がスタジアムまで足を運んでくださったにもかかわらず、こういう結果になってしまい、本当に申し訳なく思います。僕らの選手たちは本当にいい雰囲気をつなげていこうとすごく頑張りましたが、こういう残念な結果になってしまいました」、尹晶煥監督が記者会見冒頭で述べたように、大多数の桜色のサポーターに悔しい結果を見せてしまったことは、セレッソとして痛恨の極みだ。「もう少し冷静にやる必要があります。決定機がきた時、しっかり決める姿を見せないといけない」という指揮官のコメントが、この試合でのチームの課題を凝縮していた。

「でも、シュートを20本くらい打って、そこまで打っているということは、チャンスを作ることができているということ。そこを前向きに捉えていきたい」と水沼も前を向くように、チームはアグレッシブさを示しているのも事実。そのなかで、「サッカーの原点というか、走ることだったり、球際(の強さ)だったり、1対1で負けないことだったり、そういったことをもう1回練習からみんなで意識してやっていきたい」と木本もいうような、『ユン・セレッソ』らしさの重要性を再認識できたこの試合の教訓を、次こそいかしたいものだ。

文・前田敏勝