10月15日(日)2017明治安田生命J1リーグ第29節
サガン鳥栖 1-2 セレッソ大阪 (17:03/ベアスタ/14,896人)
試合写真・コメントなど
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 リーグ戦での連敗を阻止すべく、サガン鳥栖のホーム・ベストアメニティスタジアムに乗り込んだセレッソ大阪。リーグ戦では13試合ぶりに清武弘嗣が先発に名を連ね、前線には日本代表から戻った杉本健勇と、ルヴァンカップ準決勝第2戦 でゴールを決めた柿谷曜一朗が並んだ。ルヴァンカップ準決勝第2戦で劇的な決勝点を決めた木本恭生もセンターバックの一角に入った。

 ルヴァンカップで決勝進出を果たした良い流れを、リーグ戦にも持ち込みたい今節。雨が降りしきる中で行われた鳥栖との一戦は、両者の勝利への強い意欲が伝わる激しい立ち上がりとなった。
 2分、柿谷、清武と真ん中でパスをつないで左へ展開。丸橋祐介のクロスからゴールを狙ったセレッソは、4分には杉本がDFを引きつけて右サイドの水沼宏太へパス。水沼のシュートがゴールネットを揺らしたが、ここはオフサイドでノーゴール。テンポよくパスをつなぐよい入りを見せたセレッソだが、「恐るべき相手。勝利するためには彼を抑えないといけない」とマテイ ヨニッチも試合前に最大限の警戒をしていた鳥栖のビクトル イバルボに前線で起点を作られ始めると、徐々に鳥栖に主導権を握られる。

 その流れで受けた16分の高橋義希のミドルシュートこそポストに救われたが、21分、右サイドの裏を取られ、吉田豊の進入を許すと、吉田のシュートを1度はキム ジンヒョンが防ぐも、ヨニッチのクリアが再び吉田へ渡り、対応した松田陸が倒してPKの判定。1度は蹴り直しになるも、イバルボに決められ先制点を許した。

 それでも、直後の25分。前線のプレスから鳥栖にボールを蹴らせ、ヨニッチが跳ね返し、清武が頭でつなぐと、足元で収めた杉本がまたぎフェイントから相手DFの股を抜いて左足を一閃。「あんないいところに行くとは(笑)」と本人も驚く豪快なシュートが逆サイドに突き刺さり、セレッソがすぐさま同点に追いついた。 

 後半開始早々、左右に振られて大ピンチを迎えたセレッソだが、イバルボのシュート性のクロスに合わせた小野裕二のヘッドはバーに当たり、事なきを得た。52分には、セレッソの右サイドの裏をイバルボに取られ、ドリブルを許す。カバーした木本がイバルボに体を当て、ペナルティーエリア内でギリギリの対応を迫られたが、主審の笛は鳴らず。
 2度のピンチをしのいだセレッソに、逆転ゴールが生まれたのは58分。中盤でセカンドボールを拾い、最終ラインのヨニッチが松田へ縦に走らせるパスを通すと、吉田の裏を取った松田がドリブルで進入。懸命に戻る吉田を鮮やかなフェイントで振り切った松田は、後ろから追い越してきた水沼へパス。ルヴァンカップ準決勝第2戦、決勝点を決めた木本へ通した軌道を彷彿とさせる水沼の優しいクロスに大外で合わせたのは清武。リーグ戦での先発復帰を自ら祝う、清武のリーグ戦今季5点目でセレッソが逆転した。

 ここまで一進一退の攻防を展開してきた両チームだが、ここからはセレッソが試合を掌握。運動量が落ちた鳥栖に対し、セレッソは前線からの守備がハマり、奪ったボールをテンポよく前に運び、チャンスにつなげる。74分には、清武の絶妙なスルーパスに抜け出した柿谷がダイレクトでシュートを打つも、ここは惜しくもポストを叩いた。

 追加点こそ奪えなかったセレッソだが、逆転以降は鳥栖に反撃する隙を与えず、シュートらしいシュートも許さない。イバルボに対してもヨニッチが行く手を阻み、試合終盤は山下達也の投入とともに5バックでシャットアウト。大敗した直近のリーグ戦2試合で崩した守備のバランスを立て直した。
 試合前、「一体感のある戦いができれば勝てる。相手に球際で戦うことや走り勝つところで負けないようにしたい」と話していたのは山口蛍だが、まさにこの言葉をチーム全体で実践。ハードワークを武器とする鳥栖の土俵でも競り負けなかったセレッソは、柿谷が前線に入り、清武が左サイドハーフに入る新布陣も機能。今後の戦いへ期待を持たせる内容で、3位・柏レイソルに勝点2差に迫るリーグ戦4試合ぶりの勝利を手にした。

文・小田尚史