10月21日(土)2017明治安田生命J1リーグ第30節
セレッソ大阪 2-0 ヴァンフォーレ甲府 (14:03/金鳥スタ/9,438人)
試合写真・コメントなど
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 約1カ月ぶりのキンチョウスタジアムでの一戦となった、10月21日のJ1第30節。5位のセレッソは、15位のヴァンフォーレ甲府を迎え撃った。前節、サガン鳥栖にアウェイで勝利し、リーグ戦の連敗を3でストップしたなか、今節のスターティングメンバーも、鳥栖戦から変更はなし。センターバックの一角に木本恭生が入り、清武弘嗣がリーグ戦ホームゲームでは第15節清水エスパルス戦以来の出場。柿谷曜一朗と杉本健勇が前線に並ぶ形で、この試合に臨んだ。

 週末にかけて大型の台風が接近してきていることもあり、雨が降りしきるなか、ピッチ状況を含めて、厳しいコンディションとなった、この試合。しかも、相手は、過去のホームゲームでは5分4敗と、苦手にしている甲府。これまでは攻めにいったところを、逆にカウンターで失点を重ね、苦杯をなめることが多かっただけに、その教訓をいかした戦いが求められた。そのなかで、チームはいきなり結果を出す。開始5分で得たコーナーキック、丸橋祐介の蹴ったボールのこぼれ球をペナルティーエリア内で柿谷が拾うと、すぐに杉本へパス。これを桜の9番が冷静に右足で甲府ゴールへと蹴り込んだ。

「ピッチ状態もあって、何が起こるかわからない状況だったので、より先制点は大事だと思っていました。集中してやることができた」と杉本。そのチームトップスコアラーとともに、メンバーが、ゴール後には、ベンチの前で、『ゆりかごダンス』のパフォーマンス。酒本憲幸の第3子(19日)、リカルド サントスの第2子(21日)の誕生を祝福した。

「早い時間に健勇が決めてくれたので、それで自分たちは落ち着いてプレーすることができていた」と清武もいうように、試合を進めるうえで、重要な先制点を得たセレッソ。ただし、J1残留のために負けられない甲府も、ドゥドゥ、リンスのブラジル人2トップを軸に、反撃を繰り出してきたこともあり、「前半の途中で押し込まれた」(清武)。

 それでも、相手のカウンターにも、すぐに守備へと切り替えて、人数をかけて対応するセレッソ守備陣。際どいシュートを浴びることもあったが、なんとかしのいで、得点を許さない。チーム状態がよくないときには、ミスからピンチを招くシーンも少なくなかったが、この日のセレッソイレブンは「集中して、ミスを起こさないようにした」とソウザもいうように、全体がハードワークを怠らずにプレー。その頑張りもあり、甲府の反撃にも粘り強く対応し、前半を1点リードで折り返すと、後半早々、貴重な追加点を得る。

 そのきっかけとなったのは、またも、今季のセレッソの武器であるセットプレーからだった。コーナーキックにて、ゴール前でマテイ ヨニッチが、相手DFに倒されてPKを得る。このキッカーとなったのは、杉本。「雨で下がすごくスリッピーだし、ボールが浮かないというのもあって、ゴロ(グラウンダー)で蹴ることを意識した」なか、甲府GK河田晃兵にシュートコースこそ読まれたものの、鋭い弾道のボールはその手が届くよりも先にゴールネットへと突き刺さった。杉本の今季19得点目で、セレッソはリードを広げることに成功した。

 そこからは、「それ以外にもすごく多くのチャンスがあり、それを決め切ることができていれば、もっとよかった」と尹晶煥監督も振り返るように、好機が訪れるも決めきれない反省も残った。それでも、72分にやってきたピンチを、守護神のキム ジンヒョンがスーパーセーブで阻止するなど、守備の集中は最後まで途切れず。終盤には、田中裕介、山下達也、秋山大地を送り込み、きっちりと試合を締めくくったセレッソは、このまま2-0として、実に16試合ぶりとなる無失点での白星で、7月以来の連勝を達成。順位も3位横浜F・マリノスと勝点差1の4位に上げることができた。

「勝っていたとき、結構無失点が多かったし、後ろがしっかり守って、前がしっかり点を取ることができていた。今、それがまたできつつある」と殊勲の杉本もコメントするように、今季の必勝パターンを再び確立できつつあるのは、チーム状態のよさを象徴するもの。それでも、「リーグ戦ではまだACL出場圏内(3位以内)に入るチャンスがありますし、それを目指してやっていきたいし、次の水曜日には天皇杯(準々決勝、10/25・vs大宮・金鳥スタ)もあるので、またしっかり切り替えて頑張ります!」と、気を引き締めたのは清武。今季の終盤戦も、桜色の戦士たちは高みだけを見つめて進んでいく。

文・前田敏勝