10月29日(日)2017明治安田生命J1リーグ第31節
セレッソ大阪 2-1 大宮アルディージャ (16:03/金鳥スタ/8,998人)
試合写真・コメントなど
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 2017明治安田生命J1リーグ第31節は、4日前に行われた第97回天皇杯準々決勝 と同一カード。セレッソ大阪は、大宮アルディージャとの再戦に挑んだ。
 天皇杯では、主にカップ戦で活躍してきたメンバーで構成していたセレッソだが、今回の一戦では最近のリーグ戦で名を連ねていた選手たちが先発。第30節・ヴァンフォーレ甲府戦 と同じ顔ぶれが並んだ。また、天皇杯でゴールを決めた福満隆貴や澤上竜二のほか、山村和也らが控えメンバーに入った。

 1週間前に続き、台風の影響で試合直前まで風雨が強かったキンチョウスタジアム。前半途中の一時を除き天候こそ回復したのだが、水含みのピッチコンディションの中で行われた試合は、序盤からお互いにボールを運びにくい状況となる。そこで、ロングボールを多用してカウンターを狙ってくる大宮に対して、セレッソは「みんな、そのピッチ状況に合わせてサッカーができた。シンプルにするところはシンプルにして、つなぐところはつないでいくというメリハリがしっかりできていた」と清武弘嗣。さらに、「グラウンド状態のこともあったので、球際と出足というところが前半のすべてだった」と水沼宏太も言うように、これまでの戦いと同じく球際の強さをしっかりと出して相手を押し込む。
 18分には大宮・マテウスが、マテイ ヨニッチへのラフプレーで一発退場。これで数的優位となったセレッソ。31分、先制に成功する。試合を動かしたのは、過去の大宮戦2試合、そして前節の甲府戦でも威力を発揮した、セレッソの今季の強み・セットプレーからだった。左サイドからソウザが蹴ったコーナーキックは、直接ゴール方向に。これが相手DFに当たって大宮ゴールに吸い込まれていった。「セットプレーで点が入ったら優位に立てると思いますし、そういうのは今のセレッソの1つの武器」と戦前から清武も言っていたとおりに、理想的な形でセレッソはリードを奪った。

 そこからは、桜色の戦士たちの攻撃がさらに加速。1-0で折り返した後半も主導権を握って攻勢を展開すると、55分、貴重な追加点を獲得。その形もセットプレーだった。右サイドで、丸橋祐介が左足で蹴ったコーナーキックのボールは、大外にフリーで待っていた柿谷曜一朗にわたる。これを桜の8番を背負う男が、冷静にゴールゲット。柿谷のリーグ戦3試合ぶりとなる得点でリードを広げた。

 ただし、その後は「決めるべきところで決められれば、もっと楽な試合になった」と水沼も言うように、「相手が1人少なかったことで、チャンスはたくさんあった」(柿谷)中でも、ダメ押しとなる3点目が奪えない。杉本健勇やソウザ、柿谷らのシュートがことごとく大宮GK・加藤順大の好セーブにあい、もやもやとした雰囲気にもなっていくと、72分、一瞬の隙から失点。オウンゴールにより1点差に詰め寄られた。そこから、J1残留のために勝ちに来た大宮の反撃に手こずるところもあったセレッソだが、77分に田中裕介を入れて立て直しを図り、アディショナルタイムには福満も投入。シュート20本で2ゴールのみと決定力には課題を残したが、しっかりと難敵・大宮に勝ちきり、リーグ戦3連勝。順位も3位に浮上した。
 これが2017年最後となったキンチョウスタジアムでの試合。ルヴァンカップや天皇杯を含めた今季の戦績は15勝1敗。桜の聖地で圧倒的な強さを発揮することができた。

 悔しい1失点があったとはいえ、「相手に1点を取られても、最後まで我慢して勝ちきるということが大切」と水沼も言うように、この終盤戦において結果を出せたことに価値がある。
 そして次週はいよいよ、悲願のタイトル獲得がかかる2017JリーグYBCルヴァンカップ決勝。10月は、準決勝のガンバ大阪戦から公式戦5勝1分負けなしで来ることもできた。「また新しい歴史を刻める時間が、あと1週間に迫ってきたが、いい姿を見せるために、いい準備をして、高い集中力を持っていけるように最善を尽くして準備します」と尹晶煥監督。桜色の戦士たちは一丸となって、「俺らにとっては本当に特別な一戦」(柿谷)へと向かっていく。

文・前田敏勝