◆レディース
2017プレナスなでしこリーグ1部・2部入替戦 第2節
12月16日(土)13:00/川越運動公園陸上競技場
ちふれASエルフェン埼玉 0-3 セレッソ大阪堺レディース
得点者:17分 野島咲良、76分 松原志歩、90+2分 宝田沙織
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 試合前のロッカールーム。竹花友也監督はミーティングの冒頭、チームフラッグを取り出して選手たちに見せた。柿谷曜一朗、山口蛍、杉本健勇、丸橋祐介…トップチームの選手たちのサインとメッセージがしたためられていた。一瞬歓声をあげた選手たちは、目を凝らして激励の言葉を見つめていた。
「トップの選手も、クラブのスタッフも、みんなが応援してくれている。勝って、昇格を決めよう」と、監督。セットプレーの指示をした磯上まみGKコーチは、こう締めくくった。「守るのはレディースのゴールじゃない。セレッソのゴールなんだよ!」

 晴天、風もほとんどない、絶好のコンディションのなかでキックオフ。第1節でビハインドを背負った相手は、立ち上がりから積極さを見せてきた。「最初、相手がどんどん前から来ていたので、背後のスペースを狙うこととつなぐことを使い分けて、入りで失点しないこと、その中で得点を奪うことを考えていた」。ゲームキャプテンの林穂之香は冷静だった。
「先に1点取れば、相手は3点必要になる」(竹花監督)ことで、チャンスをうかがっていたセレッソ。取りたかった先制点は17分、FW野島咲良が決めた。松原志歩のパスに反応、相手のマークを受けながらも泥くさく押し込んだ。アウェイゴールを奪い、さらに優位に立ったセレッソに対し、相手は一層攻撃にパワーをかけてきた。危ないクロスのシーンもあったが、そこはDF筒井梨香が力強くはね返した。

 追加点は76分。北村菜々美のフィードに松原志歩が飛び出し、きっちりと仕留めた。「いつも左サイドでコンビを組んでいる北村選手と目が合って、来るなと思った」という、阿吽の呼吸から生まれた鮮やかなゴール。さらにアディショナルタイムには、FW宝田沙織がPKを奪取、自ら決めて0-3と突き放した。

 試合終了を告げるホイッスル。セレッソ大阪堺レディースの初のなでしこリーグ1部昇格が決まった瞬間だった。抱き合い、笑顔で喜び合う選手たち。スタンドのサポーターの皆さんからは温かい拍手が送られた。林がチームを代表して感謝のあいさつ。そのあとは、みんなで喜びを分かち合った。トップチームの選手から送られたフラッグを手に、何枚も記念写真を撮った。

 チーム創設から8シーズン目、チャレンジリーグ参入から5年目のスピード昇格は快挙と言っていいだろう。しかし、満足している選手はいない。「自分たちは成長できる。1試合1試合ものにしていって、1部でも戦えるチームになっていきたい」という林の言葉は、すべての選手に共通した思いだ。いよいよ来季はトップリーグへ――さらなる高みをめざし、新たな一歩を踏み出す。

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ガールズ
2017プレナスチャレンジリーグ入替戦 第3節
12月17日(日)13:00/三木総合防災公園陸上競技場
INAC神戸レオンチーナ 0-3 セレッソ大阪堺ガールズ
得点者:3分 善積わらい、28分 田中智子、79分 百濃実結香
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 レディース昇格の興奮さめやらぬ翌12月17日。今度はセレッソ大阪堺ガールズがチャレンジリーグ参入を懸けた最後の戦いに挑んだ。第1節、第2節でノルディーア北海道と対戦したが、2試合ともにドロー。アウェイゴールルールにより、あと一歩で参入を逃していた。入替戦第3節の相手は、同じ関西のINAC神戸レオンチーナだ。

 キックオフ直後から、積極的に攻めたセレッソ。3分、相手のミスを見逃さず善積わらいがゴールを奪って先制。28分には田中智子が押し込んで0-2。そのあとも何度もチャンスを作り、79分には縦パスに抜け出した百濃実結香が3点目を決めた。守っては、前日から2試合連続出場のDF筒井らを中心に、守備陣が危なげなく守りきり、完勝した。

 来季のチャレンジリーグ参入が決まったセレッソ大阪堺ガールズ。3度目の挑戦で目標を達成することができた。キャプテンマークを巻いてチームを引っぱった高校3年生の藤原のどかは、「時間はかかってしまったが、なんとか決めることができました」と、うれし涙を流した。
 レディース、ガールズ、ともにレベルアップした舞台へ上がる2018年。成長のスピードをさらに上げ、さくらなでしこたちが突き進む。

文・橫井素子