5月20日(日)2018明治安田生命J1リーグ 第15節
サンフレッチェ広島 0-2 セレッソ大阪 (16:03/Eスタ/20,219人)
試合写真・コメントなど
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 ワールドカップ ロシア大会による中断前最後の試合となった今節のサンフレッチェ広島戦。必勝を期して敵地に乗り込んだ一戦で、セレッソ大阪は粘り強い守備と途中出場の高木俊幸の2得点で広島に勝利。大きな勝点3を獲得した。

 セレッソにとって直近のリーグ戦、J1第13節、V・ファーレン長崎戦 から今節まで2週間の準備期間があったが、この間、負傷離脱していた杉本健勇と清武弘嗣が復帰。今節の先発に名を連ねた。
 積極的な入りを見せたセレッソは、開始5分で決定機を迎える。広島・パトリックにボールが入ったところを山下達也とオスマルが挟んで奪うと、中盤で山口蛍が左サイドへ展開。清武、丸橋祐介とつなぎ、再び山口にパスが戻ると、今度は山口が右サイドを使う。裏を取った福満隆貴の折り返しを杉本が合わせてネットを揺らしたが、ここは福満がオフサイドの判定でノーゴール。リプレイではオンサイドにも見える際どいシーンだったが、先制点とはならなかった。 

 その後は、出足鋭い広島の前にセレッソは防戦一方。9分、スローインの流れからパトリックにシュートを打たれると、10分にティーラシン、14分には稲垣祥にミドルシュートを食らう。19分にはパトリックに抜け出されて独走を許すも、マテイ ヨニッチが懸命にカバーした。29分には柏好文のクロスをパトリックが落としたところを水本裕貴にシュートを打たれたが、ここはキム ジンヒョンが止めて、こぼれたボールは山下が大きくクリアした。

 全体をコンパクトに守る広島の前に、セレッソは攻撃で打開するスペースを見つけることができない。2トップにボールが収まらず、セカンドボールも広島に奪われて劣勢が続く。36分には柏にサイドを破られ、稲垣、青山敏弘に立て続けシュートを浴びるも、なんとかしのいだ。
 広島の猛攻に体を投げ出して守ったセレッソは、41分、清武のFKをニアで杉本がヘディング。この試合、最初のシュートを放つ。45分にはヤン ドンヒョンの落としを清武が狙うも、決めることはできず、前半が終了した。

 後半に入ると、開始早々にアクシデントが発生する。左足に違和感を覚えた清武が自らプレーを止めてベンチに下がり、52分に高木がピッチに入った。そんな緊急事態にも動揺することなく、後半のセレッソはサイドを起点にチャンスを掴む。だが、試合の主導権は依然として広島に握られたまま。
 57分には、CKから野上結貴のヘディングがセレッソゴールを襲うも、ここは咄嗟に出した松田陸の肘に当たってポストを直撃。ハンドの笛も鳴らず、セレッソとしては胸を撫で下ろす結果に。64分には、ティーラシンのクロスから、この試合最大のピンチを迎えたが、パトリックの決定的なヘディングはキム ジンヒョンがギリギリで掻き出し、得点は許さず。試合後、キム ジンヒョンは最後までパトリックに体を寄せた丸橋の守備を称えたが、試合の流れを決めたビッグセーブだった。

 このあたりから徐々にセレッソに得点の匂いが漂い始める。
 75分には、オスマルが高い位置でボールを奪って縦にドリブル。折り返しを杉本が合わせるも、DFにブロックされた。76分には、福満のパスに抜け出した松田のクロスをヤン ドンヒョンが落とし決定的な場面を迎えたが、杉本のシュートはヒットしなかった。

 攻撃の手が緩まった広島だが、この選手だけは別。81分、動きが落ちないパトリックにセレッソは右サイドを突破される。クロスはキム ジンヒョンが弾くも、こぼれ球を自ら拾ったパトリックにゴールに迫られた。ここは山口が必死のカバー。
 なんとかピンチを脱すると、直後にセレッソが試合を動かした。キム ジンヒョンのキックにヤン ドンヒョンが競り勝ち、裏に抜け出した高木が見事なトラップで前を向くと、そのままドリブルからシュートを決めて、先制点を奪った。さらに3分後、再び高木の右足が火を噴く。オスマルのクロスをDFが跳ね返したセカンドボールを胸トラップし、迷うことなく右足を振り抜くと、広島GK林卓人も届かないファーサイドへ突き刺さった。

 J1リーグ首位を独走する広島のホームに乗り込んだセレッソは、広島の強さをまざまざと見せつけられる格好となったが、GKキム ジンヒョンと守備陣が体を張ってゴールを守ると、前がかる広島の隙を突き、途中出場の高木が2得点。
「選手たちが体を投げ出して、戦う心、魂を見せてくれた」と尹晶煥監督も称える気持ちのこもった試合を見せて、首位撃破を達成。AFCチャンピオンズリーグも含めた過密日程の中、大型連戦が始まったJ1第5節の湘南ベルマーレ戦からリーグ戦では7勝2分1敗という好成績を残し、中断期間後のさらなる飛躍への足掛かりを掴むことに成功した。

文・小田尚史