2月28日(日)2016明治安田生命J2リーグ第1節
FC町田ゼルビア - セレッソ大阪 (14:00KICK OFF/町田)
試合写真・コメントなど チケット
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 1年でのJ1復帰を目指して戦った昨季。セレッソ大阪は、一時は自動昇格圏の2位と勝点1差まで迫るも、シーズン終盤に失速。奮闘虚しく、目標を達成することはできなかった。

「今年は昨年からの継続。福岡に引き分けて昇格できなかった瞬間から、今季のチームは始まっている。あそこが俺らのスタートだと大熊(清監督)さんも言っているし、俺もそう思っている。セレッソとして決して忘れてはいけないし、俺も忘れることができなかった瞬間。何年か後に(J1で)優勝した時、『あの瞬間があったから』と言えるように。福岡戦のラストをそんなシーンにするためには、今年昇格するしかない」(茂庭照幸)

 涙に暮れたアビスパ福岡とのJ1昇格プレーオフ決勝 から83日。セレッソにとって、「絶対昇格」の誓いを込めた、不退転の1年がいよいよ始まる。

 1月17日の始動以降、「競争と結束」「自立と自覚」をテーマに掲げて、チームはタイと宮崎でそれぞれキャンプを張り、長いシーズンを戦い抜く準備を進めてきた。戦力的には、玉田圭司や関口訓充ら昨季の主力選手の大半が残留し、柿谷曜一朗や杉本健勇、山村和也など新たに心強い仲間も加わった。J2随一の陣容となった今季のセレッソだが、「サッカーは甘くない。昨季も順位的に下位のチームに負けている。謙虚に戦わないと、昨季と同じことを繰り返してしまう」と、チームを率いる大熊清監督に慢心はない。

 昨季終盤の監督就任以降、「球際での戦い」や「攻守の切り替え」に対して強い意識を植え続けてきた指揮官だが、今季の戦いを前にしても、「肝に銘じるべきことは、1試合1試合、力を出し切ること。最後まで走り切って、試合後に倒れるくらいの試合を毎試合できるかどうか」だと語る。

 始動以降の練習では、ボールを失った際の守備への切り替えやポジショニングなど、相手のカウンターに対する意識を強めた。また、ボールを奪った後は素早く前に出て行く「攻守に一体となったサッカー」も目指した。宮崎キャンプ中に行われた福岡との練習試合 では、相手もベストに近いメンバーの中、J1昇格プレーオフのリベンジとも言える勝利を収めている。もちろん、チームはまだまだ完成形ではなく、いざ公式戦が始まれば、課題も出てくるだろう。長所が異なる多種多様な戦力の最適解を探っている段階でもある。その点では、昨季、J3を勝ち抜いてJ2昇格を果たしたFC町田ゼルビアのほうがチームとしてのスタイルは徹底されているかもしれない。前売り段階でチケットが完売したという情報もあり、試合当日のホームスタジアムの盛り上がりも予想される。中学時代、町田JFCでプレーした田中裕介も、「いい雰囲気のスタジアム。開幕戦で、サポーターも多く入るということで、相手も気持ちが入っているはずだし、独特な空気になると思う」と話すように、町田の開幕戦に懸ける意気込みも相当高そうだ。

 それでも、今季キャプテンに就任した柿谷が、「最後に苦しい思いをしないためにも、開幕からしっかり勝点を積み重ねていきたい」と話すように、自動昇格のため、そしてシーズン序盤に勢いを付けて戦っていくためにも、開幕戦での勝利は必須。どんな展開、内容になったとしても、しぶとく勝点3をもぎ取るタフさがセレッソには求められる。

 試合前日、27日の練習場にはサポーター有志によって横断幕がびっしり張られ、選手を鼓舞した。また、チームが遠征に出発する際には、試合メンバーに入らなかった選手たち全員が、チームバスに乗り込む選手とハイタッチをかわして見送った 。今季の始動からチームに流れている良い雰囲気を継続させた中で、セレッソは開幕戦の地、アウェイ町田に乗り込む。

文・小田尚史

試合前日の監督・選手コメント 
相手チーム情報:町田は相手が強ければ強いほど、持ち味が出るチームだ