5月22日(日)2016明治安田生命J2リーグ第14節
横浜FC - セレッソ大阪 (16:00KICK OFF/ニッパツ)
試合写真・コメントなど チケット
----------

 ホームで逆転負けを喫した前節のレノファ山口FC戦は、チームに、選手に、小さくない傷跡を残した。

「めっちゃ悔しかった。上手く試合に入れなかった自分自身に対する不甲斐なさもあった」(茂庭照幸)。「4点取られた悔しさは今でも消えていない」(キム ジンヒョン)。今季の副将であり守備の要でもある両者は、前節の敗戦について、率直な胸の内を隠そうとしない。

 それでも、「躓いたからといってずっと下を向いていてもダメ。“何クソ魂”でやるしかない。責任を感じている分、今節に挑む気持ちは強い」(茂庭)。「今週はいつも以上に練習からシュート1本1本を防ぐ気持ちを強く持って臨み、少しでも気持ちを切り替えようとやってきた。今節からまた失点ゼロを続けていきたい」(キム ジンヒョン)。一日、一日の練習に真摯に取り組む中から前を向き、戦う気持ちを取り戻した。

 今節のセレッソ大阪は、メンタル面での回復とともに、ピッチ上でのプレーの修正、進化も求められる。

 前節を振り返って大熊清監督は、山口に与えた1失点目について、「パスの出し手に対する寄せが甘かった」と指摘。スローインの流れから喫した2失点目も含め、守備のアプローチで課題は残った。今節の相手である横浜FCにも、フリーでボールを持たせたら質の高いパスを供給してくる選手が中盤にいる。パスを受ける前線にも、それぞれに特長があってゴールを決め切る力を持っている選手が揃っている。守備でのプレス、奪いに行く間合いはしっかりと詰めたい。

 攻撃では、守備になれば素早く帰陣してブロックを作ってくるであろう横浜FCに対して、奪ってからの速い攻撃も仕掛けていきたい。さらには、前節の2点目、高い位置でボールを奪った杉本健勇のパスから柿谷曜一朗が決めた得点場面のように、前線で選手同士の良い距離感からシュートまで持っていく回数を増やすことができたら、得点のチャンスも増えるはずだ。

 また、「(山口の良かった部分は)攻守において組織的にプレーしていたところ。2人、3人が束になって向かってくる力は凄かった。お互いが感じ合ってプレーしていた」と茂庭が戦いを通して実感した思いは、まさしく前節を見た誰もが痛感した点であり、セレッソも謙虚に突き詰めていく必要がある。今後、勝利の確率を高めていくためには、選手一人ひとりの頑張りや力を、よりグループとしての力に昇華していく作業が欠かせない。「リーグ戦で抜け出していくためには、チームとしてまとまって、チームとしての高いクオリティーを持った中でいかに個人が力を発揮していくかだと思う」と関口訓充が話せば、「今までやってきたことに自信も持ちながら、今あるベースの上にプラスαをどんどん出していけるようにしたい」と杉本も話す。

 開幕4連勝を含め、ここまで13試合で勝点24を重ねてきたことも自分たちの力。そして、第8節以降、6試合で1勝しかできていないことも今の自分たちの現状だ。良い部分、課題、伸びシロ。それらすべてを見つめ直した上で、謙虚に攻守の質を高めていくことが今後は大事になる。

 今節を終えるとJ2リーグ戦も3分の1が終わる。今季J2に昇格してきたFC町田ゼルビアと山口が上位を争い、昨季J1昇格プレーオフに出場したV・ファーレン長崎が最下位に沈むなど、今季も群雄割拠の様相を呈してきた戦国J2。そんな厳しき戦いを勝ち抜き、今季の目標を達成するために、セレッソに立ち止まっている時間はない。多くの教訓を含んだ前節の敗戦から立て直し、再び連勝街道を歩んで行くために、敵地で迎える今節の横浜FC戦は、非常に重要な一戦となる。

文・小田尚史