8月11日(木・祝)2016明治安田生命J2リーグ第28節
レノファ山口FC - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/維新公園)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節の横浜FC戦 。セレッソ大阪は、第10節の京都サンガF.C.戦 以来となる1トップで先発した杉本健勇が、関口訓充や山口蛍とのパス交換から先制点を決めた。後半には、丸橋祐介のCKから山下達也が折り返し、山村和也が2点目を決めた。4試合ぶりの勝利へ向けて確実に歩みを進めていた。ところが─。75分に三浦知良に喫した失点からの16分間での逆転負けに、試合後は記者席でしばらく動くことができなかった。

 試合後の選手たちも、一様に厳しい表情で試合を振り返った。
「今日の負けを重く受け止めないといけない。失点を含めて映像も見て、もう1度しっかりやり直さないといけない」(山口)
「前回のホームでも町田 に逆転負けをしている。勉強をしている時間は、もう自分たちにはない」(田中裕介)

 横浜FC戦の2日前。キム ジンヒョンは、こう話していた。
「最近は失点が多い。もちろん、この流れを止めたい気持ちはみんなにある。ただ、やられている形を見ると、相手に完全に崩されての失点より、人任せになったところからやられている。誰かがやってくれる、という気持ちから失点している。自分がやる、という意識を選手1人ひとりが持つことが大事。そういうことは選手にも伝えたし、みんなで話し合った。もっともっとチームを良くしていきたい気持ちは強い。失点しても盛り上げる声を出して、いい雰囲気作りたい」 
 柿谷曜一朗の負傷離脱後はキャプテンマークを巻いて奮闘している彼の悲痛な叫びも虚しく、チームは再び3失点を喫した。

 試合翌日、キム ジンヒョンは「高校生以来」という丸刈り姿で練習場に現れた。
「自分が丸刈りにしたからといって、今のチームが変わるか変わらないかわからないけど、勝てない今の雰囲気を少しでも変えたかったし、選手にも伝わればいいと思った。みんなやるべきことはわかっているし、今の結果でいいと思っている選手は1人もいない。だけど、本当の意味で力を出し切れているか。『次、切り替えてやろう』ではダメ。それが、昨年や一昨年の結果に出ている。僕は、『次』という言葉はないと思う。『今』全てを出さないといけない」。そう話す彼の姿を見て、周りの選手も何も感じないわけがない。
 杉本は、こう話す。
「失点が多い中、ジンヒョンも責任を感じているのだと思う。それがあの気合いの表れだと思う。今、ここでヘラヘラしている選手が1人でもいたら、J1昇格はできない。失点を減らすには、僕は気持ちだと思う。失点してメンタルがやられているから、ああやってすぐに失点を重ねてしまう。ポジショニングとかもあると思うけど、戦うこと、競り合うことが大事。DFラインの責任だけではない。前から後ろにかけて全体の責任。前節が終わって中3日。今節もタフな試合になると思うけど、1人ひとりが自信を持って戦うことが大事」

 必勝を期して臨む今節だが、対戦相手のレノファ山口FCは一筋縄では行かない相手。リーグ前半戦で対戦した第13節 では、先制された後に一度は逆転に成功するも、そこから後半3失点。逆転負けを喫した。
 山口の『阿吽のパスワーク』はリーグ随一の精度であり、選手の矢印が常に縦方向に伸びている。パスワークでポジションを動かされ、走力でDFラインが裏を取られると、再び失点の可能性は高まる。パスの出し手と受け手に対するケア、走り負けないことが大事になることは言うまでもなく、山口の守備のスキを突き、相手より1点でも多く得点を奪いたい。

4試合勝利がない(1分3敗)厳しい状況だが、セレッソの選手のファイティングポーズは崩れていない。「今週の連戦が今季の山場といってもいいくらい、大事な試合。この2試合を勝って、チームとしてもう1回、勢いに乗りたい。チームとして乗り越えないといけない壁。このチームならできる」と関口は話す。

 今季、大熊清監督は「毎試合、トーナメントの決勝のつもりで戦う」という言葉を繰り返してきた。まさに今節の山口戦、そして次節の松本山雅FC戦は、それに当たる。今週の2試合の結果いかんでは、2位に浮上する可能性もあれば、2位に勝点10差を付けられる可能性もある。まさに、正念場。桜の意地と誇りにかけて、今節、セレッソは勝点3を掴み取りに行く。

文・小田尚史