8月14日(日)2016明治安田生命J2リーグ第29節
セレッソ大阪 - 松本山雅FC (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 連日にわたって30度以上の酷暑が続く8月。そして、世間はお盆休みの期間だが、セレッソ大阪にとって、この夏、最大の決戦のときがやってくる。
 2016明治安田生命J2リーグ第29節、ホーム・キンチョウスタジアムに迎え撃つのは、セレッソより上位の2位・松本山雅FC。勝点2差、勝てばJ1自動昇格圏入りを奪還でき、負ければ上位との差が離れてしまうということもあって、まさにサバイバルと言える「今年一番大事な試合」(藤本康太)がやってくる。

 第17節V・ファーレン長崎戦から5連勝を含む6勝1分と、無敗を続けていたセレッソ。しかし、ホームでの第24節FC町田ゼルビア戦で1-3と逆転負けを喫すると、大事な夏場の試合で、そこからよもやの1分3敗と急失速。4試合で失点11、うち3試合は3失点、ホームでの逆転負けを2度も経験するなど苦渋を味わった。しかし、前節のレノファ山口FC戦では、前半早々に関口訓充、後半の終盤に山口蛍の、いずれも今季初得点があり、なおかつ守備でも中3日でのタフな試合を最後まで集中をとぎらせずに粘り強く対応。5試合ぶりの白星は完封となり、ようやくトンネルから抜け出すことができた。

 しかし、「次の松本戦を勝たないと意味がない」と丸橋祐介も言うように、セレッソに立ち止まっている猶予はない。「山口戦以上にモチベーションを高めて、気合いを入れて臨まないと、勝てない相手。まず、そこが一番大事になる」とキム ジンヒョンも気を引き締めるように、中2日という短い間隔のなかでも「山口戦のように、最後まで、全身全霊で、全員で力を最後まで出し切ることが一番大切になる」(大熊清監督)。

 松本とは、5月2日の第11節にアウェイで対戦。この試合では柿谷曜一朗のアクロバティックなボレーシュートで1-0と勝利を収めることができた。ただ、柿谷は現在、負傷で長期離脱中。一方の松本は、オビナらがケガで戦列を離れているとはいえ、当時からはチームの成熟度が増しているうえに、パウリーニョや三島康平といった経験値の高い選手を夏の移籍で加えて戦力をアップさせている。前節のFC岐阜戦では先発を5人入れ替えたなかで1-1と引き分けている松本だが、このセレッソ戦への準備もしっかり整えてきているのは明白であり、前回の対戦以上に厳しい戦いが待っていることは容易に想像できることだ。

 それでも、この一戦では松本という強敵、大きな『壁』を「乗り越えなければいけない」(キム ジンヒョン)。だからこそ、「タフなゲームになると思うが、相手も状況は一緒なので勝ちきりたい」(杉本健勇)。しかも、今節はホームゲーム。「ホームであまり勝てていないことは悔しいですし、サポーターにも申し訳ない思いがある」と丸橋も言うように、今季セレッソはホームでたくさんの辛い現実にも直面してきたが、その屈辱を晴らすためにも、この試合こそ「絶対に勝たなあかん」(酒本憲幸)。

 試合前日の舞洲・ヤンマー桜グラウンドには、昨年のJ1昇格プレーオフの試合前のように、サポーター有志によって多くの応援の横断幕が張り巡らされ、選手、スタッフ、チームは勇気づけられた。「サポーターがあれくらい思っているので、選手も同じくらい持っていないと…。直接対決で負けたら離される。勝ったら順位が入れ替わる。試合の前日練習でも、みんなすごく気合いを入れてやることができていた。選手も強い(勝利への)意識を持っている」と、キム ジンヒョン。まさに今後の命運をかけた大一番。「チームとしての底力というか、チーム力で相手を倒していくというイメージを持って戦いたい」と酒本も述べるように、桜の戦士たちは総力を結集して勝利を目指す。そのためにも、杉本は言う。「選手もクラブもサポーターも、特にこの試合が一番大事ということは誰もがわかっている。サポーターの声、声援が僕たちの力になるので、1人でも多くスタジアムに足を運んでいただきたいと思います」。

文・前田敏勝