9月25日(日)2016明治安田生命J2リーグ第33節
徳島ヴォルティス - セレッソ大阪 (19:00KICK OFF/鳴門大塚)
試合写真・コメントなど チケット
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 天皇杯3回戦のサガン鳥栖戦から中2日。再びアウェイでの戦いとなるセレッソ大阪は、徳島ヴォルティスのホーム、鳴門・大塚スポーツパークポカリスエットスタジアムに乗り込み、J2リーグ第33節に挑む。

 長いシーズンもいよいよ残り10試合。昇格レースも第4コーナーに差し掛かり、各チーム、ラストスパートをかける時期に入ってきた。セレッソ大阪は、現在、18勝6分8敗の3位。2位の松本山雅FCとの勝点差は1。4位の清水エスパルスとの勝点差は3となっている。残り10試合の時点で、2位との勝点差1、4位との勝点差3で3位という立ち位置は、奇しくも昨季とまったく同じ。昨季はここから2勝4分4敗と失速し、自動昇格を逃しただけに、まさにここからが、今季のセレッソの真価が問われるところとなる。

 天皇杯3回戦から中2日という過密日程は否めないが、J1クラブと対戦したことで、モチベーション的には新たな刺激を得た。「鳥栖と戦って十分にやれる手応えも感じたし、やっぱり、今のチームで、J1で戦いたいという意欲が改めて沸いた」と試合翌日に山口蛍も話したように、各選手、それぞれ心に火が付いたことは間違いない。内容的にも、「鳥栖は相手の隙を突く力、カウンターの怖さがあった」と大熊清監督が振り返ったように、J1レベルの攻守を体感したことで、超えるべき基準も再認識できた。

「攻撃の迫力」という部分では、セレッソは前節、ギラヴァンツ北九州を相手にボールは持てども、最終ラインを破り切れない、もどかしい展開に陥っただけに、今節も徳島の堅守をどのようにして破るのか、という部分はポイントとなる。前節は、けがをおして出場した杉本健勇の「組織を超越した個の力」(大熊監督)により決勝点をもぎ取ったが、今節も再び個の力がさく裂するのか、それとも連動した組織の力で崩すのか。どちらにしても、「得点を取らないと勝てない」(清原翔平)ことは確かなだけに、攻撃陣の“攻め切る、決め切る”力に期待が懸かる。

 対戦相手の徳島は、天皇杯3回戦では先発メンバー11人を直近のリーグ戦から総入れ替え。「セレッソ戦に懸ける気持ちを感じる。ガチンコでの戦いになると思う」と大熊監督も警戒するように、J1昇格プレーオフ進出のためには残り試合1敗もできない並々ならぬ覚悟が伝わって来る。とは言え、セレッソとしても、開幕前の目標に掲げた勝点90を取るためには、残り試合の全勝が条件。選手やスタッフはこの目標を本気で狙っているだけに、この一戦も当然、譲ることはできない。運動量が落ちる試合終盤の攻防を含め、終了の笛が鳴るまで気が抜けない、死闘の予感がプンプン漂う一戦だが、セレッソは、どんな形でも勝点3をもぎとり、大阪へ戻る。

 最後に、徳島と言えば、柿谷曜一朗がサッカー選手としての再生を遂げ、再び日本を代表する選手に上り詰めるための礎を築いたクラブであり、土地だ。今でも徳島には多くの“柿谷ファン”が存在し、鳴門への凱旋を楽しみにしていたとも聞く。残念ながら、今回の一戦に関しては、8月初旬に行った右足関節靭帯損傷による手術の影響で欠場は確定しているが、復帰に向けてのリハビリは順調に進んでいる。グラウンドを走れず室内トレーニングを行っていた時期は、トレーナーの目を盗んでしばしば練習の様子を覗きに来るなど、チームのことをいつも気にかけている柿谷。セレッソとしては、そんなキャプテンの復帰に向けて、最高の舞台を作るためにも、今後も一戦必勝の戦いが続いていく。

文・小田尚史