10月16日(日)2016明治安田生命J2リーグ第36節
ファジアーノ岡山 - セレッソ大阪 (13:00KICK OFF/Cスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 前節、セレッソ大阪はホームでFC岐阜に競り勝ち、前々節の清水エスパルス戦の逆転負けの流れをひとまず払拭。再び前を向く大きな勝利を得た。2位・松本山雅FCとの勝点差も2に縮めた状態で迎える今節。対戦相手は、自動昇格を争う5位のファジアーノ岡山。前売りチケットもほぼ完売しているという情報も伝わって来るなど、高揚感が漂う、ビッグマッチの雰囲気は高まっている。

 熱戦必至の今節を前に、日本代表MF山口蛍と韓国代表GKキム ジンヒョンがチームに復帰した。彼らが戻ることで、練習の緊張感も一段とアップ。山口は、魂のこもった鋭いサイドチェンジ1本から、練習場に凛とした空気をもたらす。キム ジンヒョンも、シュート練習では好守を連発。簡単にゴールを割らせず、味方を叱咤激励する。「代表からはまた切り替えて、この試合に臨む」(山口)「(前半で交代した前々節の)清水エスパルス戦は自分がやるべきことをやり切れなくて悔しかった。今節は最後までチームの力になりたい」(キム ジンヒョン)。代表戦士2人に疲れは感じられず、気合いも十分だ。

 今節のポイントの一つは、岡山の堅守をどうこじ開けるか、ということ。素早くボールを回してサイドチェンジも効果的に入れることで、ギュッと締まった相手の守備を引きはがしたい。今週の紅白戦を見るかぎり、チャンスを作り出す攻撃の質は高まっている。「速いテンポでボールを動かして、左右に揺さぶっていけば、相手の守備も戸惑うと思う」。前節、2アシストで勝利に貢献した丸橋祐介はそう話す。前回の岡山戦で、セレッソ移籍後、初得点を決めた清原翔平も、「攻撃の連係は合ってきている」と手応えを示す。チーム得点王の杉本健勇を中心に作ったチャンスを、しっかり決め切りたい。

 守備では、まずは岡山のキーマン矢島慎也を抑えることは必須。さらに、個性豊かな選手が揃う2列目にも警戒が必要。前回の対戦時、第15節では豊川雄太に得点を決められたが、サイドのスペースに進入してくる選手をしっかりケアしたい。その豊川と同じ熊本県出身なのが藤本康太。「僕が中学校の時に教えてもらっていた時の監督が、僕が卒業した後に自分のチームを作って、そのチームでプレーしていたのが豊川選手」という縁がある。ちなみに、2人は、「熊本に帰った時、たまたまお風呂(銭湯)で会ったことが最初(笑)。それ以来、会ったら挨拶してくれる」(藤本)関係なのだという。公式戦初対決となる同郷2人のマッチアップはこの試合の注目ポイントだ。また、ロングスローを含めたセットプレーも岡山の武器。ペナルティーエリア内で様々な駆け引きをしてくる岩政大樹など、一瞬たりとも気が抜けない攻防が続く。簡単に競らせないこと、そして、その後のこぼれ球に対する反応が勝負を分ける。

 試合運びを改善することも、今節のセレッソに求められること。3-0から1点差に迫られた前節について、「攻守両方にチームとしての甘さがあった」と振り返ったのは大熊清監督だが、今季のチームが始動から大切にしてきた、“攻守にやり切る”姿勢を今一度、発揮したい。つまるところ、大一番の今節だが、セレッソに求められることは、これまでと変わらない。気負うことなく、過去の教訓を生かすことができれば、勝利を得ることはできる。リーグ戦、残り7試合。「全部、勝つ」(丸橋)という目標への第一歩。追いすがる5位・岡山を叩き、2位・松本を追撃する勝点3を掴み取る。

文・小田尚史