11月3日(木・祝)2016明治安田生命J2リーグ第39節
ジェフユナイテッド千葉 - セレッソ大阪 (16:30KICK OFF/フクアリ)
試合写真・コメントなど チケット
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 J1昇格争いも第4コーナーに差し掛かったシーズン終盤。ラストスパートをかける時期に入った10月の5試合で、セレッソ大阪は1勝3分1敗と思うように勝点を積み上げることができなかった。残り10試合で2勝4分4敗と失速して自動昇格を逃した昨季を踏まえ、今季は「同じことを繰り返さない」と強い気持ちで臨んだだけに、チーム・選手は悔しさを噛みしめ、サポーターにとっても、もどかしい思いが募ることとなった。

 ただし、10月の勝てなかった4試合も、いずれも1度はリードする展開に持ち込んでいる。勝負の世界に“タラ・レバ”は禁句だが、もし仮りに、この4試合を勝ち切っていれば、現時点で首位のコンサドーレ札幌と勝点で並んでいるのだ。どの試合でも確実に勝機は掴んでいるだけに、あとはそれをいかに手繰り寄せるか。

 前節 の試合後、山口蛍が開口一番、「言っていることは毎試合、変わらないと思います。防げる失点でもあったし、もっと得点を取れるシーンもありました」と話したように、追加点を取ること、安易な失点を防ぐこと、それが現在のセレッソに求められていることなのだが、「どちらかと言えば失点の部分を、もう1回見直すことが大事」と大熊清監督は話す。
 山口も前節の試合後、前述の言葉のあとで「今季はここまで0-0で終わっている試合はほとんどないから、失点さえなくせば勝てる試合はたくさんあった。1点は取れる攻撃力はあるから、失点を抑えることが大事。次節、勝ち切れない今の雰囲気を破って、勝てる雰囲気を作って、残り試合を勝っていきたい」と続けていた。

 まずは得点を取ること、そしてリードしたあとの試合運びを改善することが、残りのリーグ戦では求められる。今季は、「得点を取ったあとに受け身に回ってしまった」という言葉が試合後に選手から出てくることも多いが、ズルズルと最終ラインを下げてはいけない。最終ラインが下がることで中盤にスペースが生まれ、そこを相手に使われてミドルシュートを決められるシーンも目立つ。こまめなラインコントロールを心がけたい。もっとも、前からのプレッシャーがかかっていない状態ではラインも上げることはできない。前節が終わったあと、「2-1になった後、自分が前からもっと守備をして、前線で収めて時間を作ることができればこっちのペースになったと思う」と澤上竜二も振り返ったように、疲労が溜まってくる試合終盤、どうしても間延びしてしまう時間帯での、チーム全体の守備の意思統一は欠かせない。さらに、奪ったボールを簡単に相手に渡さないことも大切になる。

 攻撃では、前節は澤上がJ2リーグ戦での初先発を勝ち取ると、クロスに対してニアで潰れる動きや相手のDFラインを押し下げる動きで貢献。杉本健勇が起点となり、ソウザが決めた先制点も、そういった澤上の動きから生まれたと言っても過言ではない。それでも、FWには得点が取れてゲームも作れる玉田圭司が控えている上に、ケガから復帰してきた田代有三や柿谷曜一朗も、来るべき時に向けて準備を進めている。それだけに、「今節、出るチャンスがあれば、絶対に点を決めたい。自分が点を取って、チームを勢いに乗せたい」と強い危機感で澤上は試合に挑む。

J1昇格を掴み取るために──。攻守における詰めの甘さを克服して、勝ち癖をもう1度、身に付けること。それこそが今のセレッソには必要だ。今節のジェフユナイテッド千葉戦を、そのスタートにしたい。

文・小田尚史