11月12日（土）2016明治安田生命J2リーグ第41節
東京ヴェルディ － セレッソ大阪　（16:00KICK OFF/味スタ）
試合写真・コメントなど ｜チケット
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　ひと足先に試合を終えた他会場の結果、セレッソ大阪は前節の愛媛ＦＣ戦を戦う前に、Ｊ１自動昇格の可能性が潰えた。昨季に比べて戦力も増したなか、Ｊ２優勝も目指したシーズン。２年連続で自動昇格を逃したことは、クラブにとって不本意以外のなにものでもない。
　それでも、「リーグ戦残り３試合を勝って、いい流れでＪ１昇格プレーオフに行こう」と試合前に再結束を図ったチームは、難敵・愛媛を相手に1－0で勝利。チーム得点王の杉本健勇に５試合ぶりのゴールが生まれれば、守備では７試合ぶりに無失点を達成。さらに、第17節のＶ・ファーレン長崎戦 で負傷交代して以降、長い間、戦列を離れていた柿谷曜一朗が５カ月ぶりに復帰するという明るい話題尽くしで、チームに勢いをもたらす勝利を掴んだ。

　残りのリーグ戦２試合も、前節掴んだ流れを継続させ、Ｊ１昇格プレーオフへ良い状態で挑むために、非常に重要となる。今節の東京ヴェルディ戦は、日本代表で山口蛍を、韓国代表でキム ジンヒョンを欠いたなかでの一戦となるが、同じく代表で２人が不在であった第35節・ＦＣ岐阜戦 では勝利も収めており、出場機会を待つ選手の士気も高い。ホーム最終戦で「今季の集大成を」と意気込む東京Ｖに対して、セレッソもモチベーションの部分で負けてはいけない。

　その上で、Ｊ１昇格プレーオフを勝ち抜くために、セレッソは残り２試合で攻守両面をさらに高めていきたい。攻撃では、好機での集中力が問われる。勝利した前節にしても、「得点の前にもいい形は作っていたけど、自分も含めて決定機を外してしまった。そういうところを決め切ることが、残り２試合とプレーオフでは大事になる」と清原翔平も話すなど、流れの中から掴んだ決定機を何度も逸したことを忘れてはいけない。振り返れば、完敗した前回のアウェイ・ジェフユナイテッド千葉戦（第39節）でも、前半の立ち上がり、「自分たちの時間帯に決めることができていれば」という声が試合後に複数の選手から聞かれた。今節も、決めるべきところで決めなければ、その代償を払うことになりかねない。ゴールネットを揺らし、Ｊ１昇格プレーオフに向けてチームに勢いをもたらす選手は誰か。「いい意味で、自分が試合を決めるという気持ちでプレーすることが大事。チームの一員として自覚を持って戦いたい」（清原）と選手たちは、再度、襟を正す。前節、復帰した柿谷の起用法も今節の注目ポイントとなる。

　一方、前節で７試合ぶりに無失点で抑えた守備は、「シュートを打たれるとき、最後に身体を投げ出して守ったり、それだけでなく全員が守備意識を持って、ハードワークして、簡単に相手にやらせないような守備を今日はやっていた」と試合後にキム ジンヒョンが話したように、気持ちの入った守備を披露した。それでも、「これからもっと集中して、もっと出し切らないと、Ｊ１昇格プレーオフでは厳しい試合になる」とキム ジンヒョンは戒めることも忘れない。前節の内容を最低限として、組織としてもブラッシュアップさせていくことが必要だ。シーズン終盤に来て、コンディションが万全ではない選手も出てきているが、ピッチに立った選手が責任を持ってプレーすることで、いい守備を続けていきたい。

「セレッソは絶対にＪ１に上がらなくてはいけないし、絶対に自分たちが上げるという強い気持ちを持ってプレーします。サポーターの皆さんも今日のような熱い声援を僕たちに送っていただければ、それが自分たちの背中を押してくれます。１つになって、残りの試合を戦いましょう」
　前節の試合後、サポーターに向けて共闘を呼び掛けたのは杉本だ。今こそ、Ｊ１昇格をあきらめない思いをチーム全員で共有すべき時。Ｊ１昇格プレーオフ決勝で敗れた昨季の悔しさは、チームに関わる誰もが忘れていない。今季、再びその舞台に立ち、今季こそ歓喜を爆発させるために。目の前の一戦を全力で戦い、「次につながる、積み重ねがある戦い」（大熊清監督）を敵地で披露する。

文・小田尚史