4月8日(土)2017明治安田生命J1リーグ第6節
鹿島アントラーズ - セレッソ大阪 (15:00KICK OFF/カシマ)
試合写真・コメントなど チケット
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 リーグ戦での連勝を含む公式戦3連勝中と、桜の季節に勢いに乗るセレッソ大阪。この3試合はいずれも無失点。キャンプから積み上げてきた守備は安定感を増しており、攻撃ではセットプレーが猛威をふるっている。前節の横浜F・マリノス戦 後の会見で尹晶煥監督は、「今は雰囲気がいい。この雰囲気をずっと保ち続けることができればいいなと思う」と話したが、雰囲気の良さは、4月2日に行われた徳島ヴォルティスとの練習試合 からも見て取れた。チーム最年長の茂庭照幸が途切れることなくコーチングを続け、丸岡満や清原翔平、リカルド サントスといったスタメンの座を狙う選手たちが懸命に戦う。その一方で、岸本武流や森下怜哉といったU-23から引き上げられた選手たちも必死にアピールしていた。そういったひたむきな姿勢がある限り、今後もチームが緩むことはないだろう。

 そんな右肩上がりで迎える今節の鹿島アントラーズ戦は、「今の自分たちの状況と実力と、これから何をしないくてはいけないのか、何が通用するのかがわかる大事な試合」と山口蛍も話すように、完敗を喫した第2節の浦和レッズ戦 から積み重ねてきたチーム力を測るには絶好の一戦。
「昨年のJリーグ王者であり、勝つことを知っているチーム」と鹿島を評するのは尹晶煥監督。「誰か1人を止めれば勝てるという相手ではないので、チーム全体として相手を上回る力を見せないといけない」と話す。「浦和戦みたいな(腰が引けた)戦い方にならないよう、いい準備をしたい」と意気込む関口訓充は、今節について、「鹿島は浦和とはまた違うサッカーをしてくると思うけど、浦和と同じでうまさも強さもある。球際1つひとつで自分たちがどれだけ勝てるかで、ゲームの流れも変わってくる。今はそういうプレーができていると思うので、強い相手に対してもどれだけできるかが試される」と試合のポイントを話す。 

 そして、セレッソへ移籍後、初の古巣戦を迎える山村和也にとっても、今節は特別な思いが募る一戦だろう。「昨季、セレッソに来た段階で、J1に昇格して鹿島と戦うことは1つの目標としていた。やることはいつもと変わらないけど、楽しみ」と試合をイメージする。今節も前目のポジションでの先発が濃厚であり、鹿島で切磋琢磨してきた昌子源や植田直通とのマッチアップが予想される。ただし、「その2人とというよりは、鹿島に対してセレッソがしっかり勝てるような試合にしたい」と冷静に話す。「攻撃的なポジションはセレッソに来ていなかったらやっていなかったと思うけど、今は自信を持ってやれている。まだフィニッシュに課題は残るけど、今はみんなのやることが整理され始めている」と今節も攻撃を引っ張り、虎視眈々とゴールを狙う。

 1人のサッカーファンとして、昨季の鹿島のFIFAクラブワールドカップでの戦いぶりには感動を覚えた。そして、Jリーグの代表として戦う彼らのことを誇らしくも思った。
 今季の開幕前、3年ぶりのJ1に挑むにあたり、対戦が楽しみな相手として、セレッソの選手たちも「鹿島」の名前を挙げる選手は多かった。ただし、“リスペクト”と“過度な恐れ”は違う。前節の試合後に柿谷曜一朗は、「僕らはJ2から上がってきた身で、相手をリスペクトしてやらないといけないとは思うけど、自分たちの力を信じてやるべき、とも思う。ピッチの中でどれだけ自分を表現するかが大事」と力強く話した。
 大型補強でリーグ連覇を目指す鹿島。J1昇格1年目のセレッソ。両者の立ち位置を考えた時、こちらに失うものはない。課題を突きつけられれば、糧にすれば良い。勝てば、大きな自信になる。構図は実にシンプル。現状で持てる力を思いきり表現するのみだ。

文・小田尚史