6月25日(日)2017明治安田生命J1リーグ第16節
ベガルタ仙台 - セレッソ大阪 (18:00KICK OFF/ユアスタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 09年には激しいJ1昇格(J2優勝)争いを繰り広げ、J1昇格後もしのぎを削って来たライバル。それが、ベガルタ仙台だ。ただし、相手サイドのプレビューにもあるように、仙台のチームとしての色は、その頃とは少し変わってきている。当時の仙台は4-4-2の堅守速攻が確立されたチームだったが、現在はシステムも3-4-2-1となり、フィニッシュの形作りやビルドアップにも力を入れている。より攻撃的なチームへと進化を図っている中で、フィニッシュを任させているのがレフティーのクリスラン。「危険な選手」とソウザも話す、現在、得点ランク2位に位置するこの点取り屋に仕事をさせないことが、セレッソ大阪としては何より重要だ。

 攻撃時には高い位置に張り出す両サイド、永戸勝也や蜂須賀孝治、中野嘉大にも警戒が必要。縦へのスピードに乗らせず、良質なクロスを入れさせないようにしたい。サイドでの主導権争いは今節の注目ポイントになる。ただし、仮に仙台にボールを握られる時間が増えたとしても、今季のセレッソの強みである守備の耐久力をしっかりと発揮し、そこから攻撃につなげていくことができれば、自然と主導権は握れるはず。古巣戦となる関口訓充が「あの雰囲気は忘れられない」と話すほど、アウェイチームに与える威圧感は凄まじいユアテックスタジアム仙台だが、セレッソとしては、その熱狂的な雰囲気に飲まれず、冷静に戦いを進めていきたい。

 前節の清水エスパルス戦では、開始早々の失点が重く圧し掛かり、最後まで苦しい展開を余儀なくされたが、試合終了間際に清武弘嗣のPKによるゴールで追いついたことで、重苦しい雰囲気は一掃された。リーグ戦の連勝こそ4でストップしたが、中3日で行われた天皇杯2回戦でも新潟医療福祉大学に2-0で勝ったことで、連勝への機運は高まっている。今節は、清水戦は出場停止だったソウザが戻って来る。清武のリーグ戦での先発復帰も濃厚であり、前節はシュート16本を放ちながら1点に留まった攻撃陣の躍動が期待される。清水戦後は引き分けの責任を背負い込んだ杉本健勇も、「個人としてもチームとしても勝負強さを見せていきたい」と今節に挑む意気込みを語る。

 全34試合のリーグ戦も、折り返し地点まで残すところあと2試合。開幕前、今季の目標を9位(以内)に設定したセレッソだが、前半戦の結果次第では上方修正することも、指揮官は常々話している。より高い目標に向かうために、今節での勝点3は譲れない。アウェイでの仙台戦はセレッソにとって鬼門の一つだが、新しい歴史を築いていくために、是が非でもこの“難所”を突破したい。

 ユアスタでの試合は3-3と壮絶な打ち合いとなった14年の第32節以来となる。当時のセレッソはJ2降格圏で喘ぎ、チームとしても苦しい状態だったが、3年ぶりのJ1を戦う今季は攻守にバランスの取れた好チームに仕上がっている。“今”の力をかつてのライバル相手にしっかりと見せ付け、高みへ向かう勝利を掴む。

文・小田尚史