9月20日(水)第97回天皇杯4回戦
セレッソ大阪 - 名古屋グランパス (19:00KICK OFF/パロ瑞穂)
試合写真・コメントなど チケット
----------

 逆転優勝を目指す上で1つも落とせなかったリーグ戦。前節、第26節・サンフレッチェ広島戦 に敗れたショックは小さくなかったセレッソ大阪だが、台風一過の18日、青空が広がる舞洲グラウンドに現れた選手たちは、いつもと変わらぬ様子、笑顔で練習に励んだ。もっとも、紅白戦になれば笑顔は封印してバチバチとぶつかり合い、そこには若手もベテランも関係なく、誰もが試合に出るため、そしてチームに貢献するために、必死な姿があった。

 J1復帰1年目ながら、ここまでリーグ戦、ルヴァンカップ、天皇杯と、3つの大会全てでタイトルを狙える位置に付けているセレッソ(前述したように、リーグ戦は少し厳しくなってきたが…)。その内の1つ、天皇杯には2回戦 から登場し、3回戦 ではアルビレックス新潟と延長にもつれ込む死闘を演じ、4回戦に駒を進めた。ルヴァンカップと同様、天皇杯はリーグ戦からメンバーを入れ替えながら戦い、勝ち上がることで、チームの結束は深まってきた。今回の4回戦も、「中2日で次のリーグ戦があるので、ルヴァンカップに出ている選手たちを使おうと思っている」と尹晶煥監督は明言。「僕たちがやろうとすることを徹底してやってくれている選手たち。一体感のあるチームワークを発揮してくれている」と期待を寄せた。

 そんな中、川崎フロンターレ時代、敵将の風間八宏監督の薫陶を受けていたのが田中裕介。現在の名古屋について、田中は「やろうとしているサッカーは、川崎の頃から変わらず、ボールを大事にするポゼッションサッカーということは見て取れますが、あの時とはまた少し違い、より流動的になっているというか、ポジションにとらわれないっていうところもあります」とその印象を語る。2回戦の新潟医療福祉大学戦では、桐光学園高校時代に師事していた佐熊裕和監督と対戦し、ゴールも決めた田中だが、今度はプロになってからの恩師と対戦することになる。

 また、名古屋には、昨季まで2年間セレッソでプレーしていた玉田圭司がいる。玉田が出場すれば、マッチアップする機会が増えることが予想されるのが秋山大地。「ボールを持ったらうまいし、自由にやらせるとややこしいことになる。しっかり潰したい」。今年、大きな成長を遂げているクラブ生え抜きボランチが、相手の“キーマン封じ”という重要なミッションを任されることになる。
 とりわけ玉田と仲の良かった関口訓充も、対戦を楽しみにしている1人。「タマさんにはずっとかわいがってもらっていたし、一緒にやってきた仲間というか、学ぶべきものがたくさんあった」と玉田について語り、「まだ離れてから少ししか経っていないけど、自分たちがやってきたこの9カ月をピッチで出せたらいい。名古屋にしっかり勝って、トーナメントの上に進みたい」と力をみなぎらせる。

 もう1人、セレッソのアカデミーで育った永井龍も警戒すべき選手の1人だ。
 アカデミー時代の後輩でもあり、2014年のシーズン終盤には永井と2トップを組んでJ1を戦った杉本健勇は、「もちろん(永井にとって)この試合は特別な思いがあると思う。自分も対戦は楽しみだけど、勝負が懸かっているし負けないようにしたい。このチームで1試合でも多くやりたいので、しっかり明日も勝って、天皇杯を勝ち進むとともに、リーグ戦のベガルタ仙台戦につなげたい」と話し、感傷は胸にしまって、チームとして戦うことを誓った。

 相手チーム情報 を読むかぎり、名古屋の現状は“総力戦”とのことだが、相手がJ2だから、人数がギリギリだから、といったことにチームは油断することはない。「(名古屋は)J1レベルの攻撃力があると思うので、J2やからといって油断することなく、いつも通り、自分たちが今までやってきたことをしっかり出すことが大事」(秋山)、「名古屋は昨季までJ1にいたチームだし、J2のチームと試合をするという感覚はない」(杉本)。選手たちは一様に気を引き締めてこの試合に臨む。

「前に人数をかけて回してくる」(藤本康太)名古屋に対し、守備で焦れずにしっかりと体を張ってしのぎ、攻撃では相手の隙を突いて得点する。この一戦でセレッソのやるべきことは明確だ。ベンチに入る18人全員の力で名古屋を下し、セレッソは準々決勝進出を目指す。

文・小田尚史