11月4日(土)JリーグYBCルヴァンカップ決勝
セレッソ大阪 - 川崎フロンターレ (13:05KICK OFF/埼玉)
試合写真・コメントなど チケット
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 11月4日、13:05。セレッソ大阪と川崎フロンターレによる2017JリーグYBCルヴァンカップ決勝の火ぶたが切って落とされる。どちらも勝てばクラブ初のタイトル獲得となり、周囲の注目度は高く、チケットは前売りですでに完売。これは、ルヴァンカップ決勝の舞台が埼玉スタジアム2002になってからは初めてとのこと。サポーターも含め、両クラブのタイトルに懸ける思いがぶつかり合う、至高の一戦になることは間違いない。

 そんな“決戦”に向け、セレッソのチーム状態は右肩上がりだ。約1カ月前、2017明治安田生命J1リーグ第28節で川崎Fと対戦 した試合では、「これでもかってくらい、ボコボコにされ」(杉本健勇)、1-5で完敗。リーグ戦3連敗となり、試合後は何人もの選手が危機感を訴えた。しかし、続く公式戦、ガンバ大阪とのルヴァンカップ準決勝第1戦を2-2で引き分けて決勝進出に望みをつなぐと、続く準決勝第2戦では1-1で迎えた試合終了間際、木本恭生が劇的なゴールを決め、土壇場でルヴァンカップ決勝進出を決めた。

 セレッソに関わる誰もが歓喜に包まれたこの勝利により、チームは完全に息を吹き返した。そこからリーグ戦では3連勝してAFCチャンピオンズリーグ出場圏内である3位浮上を果たせば、リーグ戦の間に挟まれた天皇杯準々決勝でも大宮アルディージャに勝利、準決勝進出を決めた。
「今、僕たちはすごくいい流れで来ることができている。この流れをそのまま決勝にぶつけたい」と清武弘嗣も話すように、チーム、そして選手1人ひとりが自信を持ってこの決勝に臨むことができる。「セレッソというクラブにタイトルをもたらしたい思いは誰より強く持ってきた。本当に勝ちたいし、優勝カップを掲げたい」と話したのは杉本だが、チーム初のタイトル獲得へ向け、誰もが思いを1つにしている。

 もっとも、初タイトルを目指す気持ちの強さは川崎Fも同じであり、川崎Fの今季の力については、セレッソの選手たちも身を持って体験した。古巣とタイトルを懸けて争うことになった田中裕介は、川崎Fについて「能力が高い選手が多いし、(攻撃では)局面、局面で数的優位を作ってくる」とした上で、「前回、等々力でのリーグ戦ではボロボロに負けているので、ウチはどう反省を生かすか。そういう(数的優位を作ってくる)相手に対して、いかにやらせないか、気を利かせて守れるか。そこを怠ると、前回の試合のようになる。まず、それをやらせないことが大事」だと話す。川崎Fのセンターバック・奈良竜樹が出場停止であることにも触れ、「(川崎FのDFラインでの)コミュニケーションのズレは必ずあると思うので、そこをカウンターも含めてしっかり狙うことも大事」と試合展開を見据える。そういった川崎Fの特長や、リーグ戦での敗戦をしっかりと生かすことも踏まえた上で、「献身的に走り、犠牲心を持ってプレーをすること」の大切さを常に説いてきた尹晶煥監督のサッカーを、試合終了の笛が鳴るまで表現できるかどうかも勝敗を分けるだろう。

 セレッソにとって、タイトルが懸かった試合は2005年のJ1リーグ最終節以来であり、カップ戦では2003年の天皇杯決勝以来となる。12年ぶりに巡ってきたタイトル獲得のチャンス。これまで5度、優勝を前に涙を飲んできた森島寛晃部長(チーム統括部フットボールオペレーショングループ)も「過去の歴史は関係ない。今年はいろいろなジンクスを破ってここまで来た。勝負強い今年の選手たちはやってくれる」と太鼓判を押す。
 なにより、今回の決勝は、ここまでグループステージを含めて12試合を戦ってきた選手たちの思いも背負っての特別な一戦になる。埼玉スタジアム2002での前日練習を終えた清武は、「そういう選手たちのためにも絶対にタイトルを獲りたい」とキッパリ語った。試合当日は、トップチームに所属する全選手がスタジアムに駆け付ける予定。セレッソに新たな歴史が作られる歓喜の瞬間が訪れることを、願ってやまない。

文・小田尚史