9月29日(火)に行った「セレッソの森 スタジアム構想」についての発表記者会見コメントをお知らせします。
会見要旨会見での質疑応答
特設サイト

●あいさつ
大阪サッカークラブ株式会社 代表取締役社長 玉田稔 
「みなさんこんにちは、大勢の方に来ていただいてありがとうございます。ごあいさつと背景的なお話を私からご説明させていただき、その後、本題は一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ代表理事の宮本から説明させていただきたいと思います。

私がセレッソ(大阪サッカークラブ株式会社)の社長に就きましたのはこの2月1日からですが、それ以降いろいろなことを手探り状態でやってきています。その中の1つとして『中期計画』があり、2015年から2020年くらいまでにスタッフ全員が共有するプロジェクトを立てています。若い人にどんどん意見を言ってもらって、どんな会社にしたいのか、どんなクラブにしたいのか、ということを議論してまとめています。
今年の一番の課題は、もちろんJ1昇格です。まだJ1昇格できるかどうかわかりませんが、J1昇格後のことを考えてやっています。これは監督も常日頃から「また落ちるようなチームではなく、常に上で戦えるチーム作りをしていきたい」と言っていますし、我々クラブスタッフとしても1つの目標として、2020年くらいまでの当面5年間は「J1に昇格した後、常にACL出場を狙えるチーム作りをしていきたい」ということをスタッフ全員の意見として取りまとめています。

今日、Jリーグから来年のライセンス基準が発表されていると思います。
今我々が使っているスタジアムは2つあります。1つはヤンマースタジアム長居。これは陸上競技場です。もう1つはキンチョウスタジアムという球技専用のスタジアムとなります。2012年度からJリーグ規定のスタジアムという文言の最初に「サッカースタジアムであることが望ましい」と明記されています。これは、将来的には「陸上競技場ではダメですよ」というのが暗に書かれているかと思います。
ヤンマースタジアム長居というのは、過去にACLの試合もやっていますが、実はJリーグのスタジアム基準に合致しないところが1カ所あります。それはトイレの数です。他のスタジアムでもトイレの数や、屋根が掛かっている掛かっていないという基準がありますが、残念ながらヤンマースタジアム長居はトイレの数が圧倒的に少ないのです。多分トイレの数が少ないチームとして「ヤンマースタジアム長居(C大阪)」と今日発表されていると思います。

常時ACLにチャレンジしていくことを念頭に置き、スタジアムの基準というのもクリアしていく必要があります。現在のキンチョウスタジアムは辛うじてクリアできていますが、強いチーム、人気のあるチームを目指し、もう少し収容者人数を増やしていきたいという思いがあります。
将来のあるべき姿として、少し抽象的な表現ですが、地域に根ざしたクラブ、スタジアムで、この町になくてはならない存在になりたいという思いが我々にはあります。これを実現させるための1つが「セレッソの森スタジアム構想」です。簡単に言うと「おらが街のクラブ、スタジアム」を実現していきたい。

私は8月に仕事でオランダとドイツに行き、4つの都市を周りました。人口2,500人くらいの村にもサッカー専用スタジアムがあり、観客席はそんなにないけれど、小さなクラブハウスがあり、そこにレストランがあり、1杯飲みながらゲームが見られる。もう少し大きな町では、それなりの天然芝のスタジアムがあって、その周りに天然芝が数面、人工芝も1〜2面のグラウンドがあるスタジアムもありました。もう少し大きなところでは、アムステルダムのようにメインスタンドは3,000〜5,000人収容のスタジアムがあって、その横に食堂・レストランがあり、食事をしながら、またバーカウンターで飲みながらサッカーを見ることができる。そこはなんと合計7面の練習施設がありました。
レバークーゼンのスタジアムでは、スタジアムにはビジネス向けのカタログが置いてありました。「こういう会議室があります」「もしコンサートをやるならこういう場所を提供できます」「付帯としてこういうレストランが提供できます」など書いてありました。
はるか先になると思いますが、我々もそういったものを実現していきたい。後で宮本から詳しくお話しいたしますが、Jリーグがスタートして百年構想という理念を打ち出した背景には、そういうところも含まれていたのではないかと思います。

実はキンチョウスタジアムを最初に改修したのは2009年です。2009年が一期、2011年から二期、今度は三期工事となります。スタジアムの成長をクラブの成長、地域の成長と考え、地域との融合性を見ながらステップバイステップで大きくしていきたいという構想です。これは今すぐ「はい、やります!」といった簡単なものではないですし、自治体の協力も多額のお金も必要で、すぐにスタートしてできあがるものでもありません。少し時間はかかりますが、「セレッソの森スタジアム構想」というか「キンチョウスタジアムの新スタジアム構想」ということで、ご説明をさせていただきたいと思います。
それでは宮本から具体的なことをご説明させていただきたいと思います」

●キンチョウスタジアムの育成型複合スタジアム化改修に関して
<背景>
■スタジアム基準をクリアする必要がある。
・セレッソ大阪としては常時ACL出場を狙えるチーム強化を図っていきたい。
■地域に根差したクラブ、スタジアムでありたい。
・この街になくてはならない存在でありたい。
<セレッソの森スタジアム構想>
■地域、サポーター、スポンサー、選手そしてクラブがともに持続した成長を遂げるための育成型複合スタジアムでありたい。
1.クラブの成長に応じた段階的改修
(1)既存建築物を最大活用した継続的な改修
(2)最新設備の導入:エコスタジアム
2.日本一の親近感
(1)臨場感と一体感の追求
(2)誰もが楽しめる
(3)緑に囲まれた優しさ:外壁の緑化、木材の活用、桜の植樹など
3.地域のための都市型スタジアム
(1)防災拠点としての機能
(2)街づくりの担う都市型スタジアムとして、地域の賑わい、振興の創出:諸施設の併設
4.みんなで育む
(1)みんなが参加できるスタジアム構想の反映
(2)みんなの力で出来るスタジアム:寄付、ふるさと納税等の活用

<会見コメント>
一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブ 代表理事 宮本功
「私からキンチョウスタジアムの育成型複合スタジアムに向けての改修について、ご説明させていただきたいと思います。

まず改修に関する構想の骨子の部分です。背景は今、玉田からご説明させていただいた通りですが、ポイントがいくつかあります。

1つはスタジアムをキチッと育てていくということです。
今のところ我々は、一気に大きなスタジアムを建て替えるほどの力はありません。そもそもキンチョウスタジアムの改修を選択したのは、パーツで分かれているため我々の規模に応じて段階的に改修ができ、メイン・バック・ゴール裏それぞれ1つずつ建て直しができます。一気にやろうとすると、ヤンマースタジアム長居は建設当時4百数十億円かかっていますが、それを壊してもう一度建て直そうとすると巨額なお金が必要となり、それこそ新国立競技場のような大きな事業になります。キンチョウスタジアムを選択しているのは、1つずつのパーツを我々の体力に応じて建て直すことができる、要は育てていける。我々が今一生懸命やっている選手育成型の理念にも合致しますし、そういう意味で今回の構想でも『育成型スタジアム』と呼んでいます。長居の場所は都心に当たります。都市型であり複合スタジアムとして改修していく、これが「セレッソの森スタジアム構想」です。

そのポイントが4つ。
【クラブの成長に応じた段階的な改修】
1つは段階的な改修をする。既存の建物を生かして改修していく。 ※完成予想図 特設サイト 
メインスタンドは今のまま活用します。ゴール裏は当然活用しつつ、現アウェイ側とバック側を改修していくという形になります。ゆくゆくはメイン側も同じような形でやれる時期が来るかもしれませんが、段階的に改修していくのが「セレッソの森スタジアム構想」です。
そして「セレッソの森」と名付けている以上、周りに桜の木を植えたいですし、緑あふれる長居公園内にある気持ちの良いスタジアムにしていきたいということも含めて「セレッソの森スタジアム」とさせていただきたいと思います。
また、新しいスタジアムを造っていくのですから、その時々の最新の設備、仕組みを取り入れていく。
『森』という名前を付けたスタジアム構想ですから、人に優しい、環境に優しい、親しみのあるスタジアムにしていきたいと思います。外壁が緑化されている温かみや、国産木材も使っていこうとしています。

【日本一の親近感】
陸上トラックがありませんので、臨場感、一体感を引き続き追求していきます。お客様の声がそのまま選手に届き、お客様が勝ちたいと思うと、選手にそのままその思いが伝わるような、そういうスタジアムにしていきたいと思います。
ご存じの通り、バックスタンドの裏にはJRの高架があってうしろのスペースにそんなに余裕がないため、改修後は何層かに客席が重なります。うしろに下がっていないため、ピッチには近い。結構な急角度で、上から見るような感じです。キンチョウスタジアムの良いところは、メインスタンドに座っていただいたらわかると思いますが、見やすいことです。それはいたずらにうしろに下げず、それなりの勾配を持って上から見る感覚だからです。その『近い』という良さを、3層構造を持たせることによって実現したい、追求したいと思います。
(2)誰もが楽しめるというのは、人に優しいスタジアムなので、例えば子どもであったり、高齢者であったり、健康な人そうでない人、カップル、家族が楽しめるような導線、設備、席、サービスをしっかりと追求していきたいと思います。
(3)緑に囲まれた優しさというのは、『森』というスタジアム構想なので、緑あふれる優しさというところをしっかりやっていきたいと思います。

【地域のための都市型スタジアム】
防災の拠点としての機能をしっかり持っていきたいと思います。これは長居公園が持っている機能なので、キンチョウスタジアムにもしっかり備えていきます。
(2)街づくりを担う、というのがポイントです。都市型なので、地域の賑わいとか振興を、スタジアムがつくり出していく形に持っていきたいと思います。具体的に言うと、複合スタジアムとしての諸施設やサービスを施設内に持っていく。公園内なので大阪市との協議が必要ですし、ルール上できないこともあると思いますが、例えば文化教養施設であったり、児童福祉施設であったり、娯楽施設であったり、地域の住民のみなさんのニーズをしっかり捉えて、試合のない日でもお客様がいらっしゃる、それはセレッソのサポーターだけでなくて、地域の方々にこのスタジアムを使っていただけるような、そういう機能をしっかり持つというところが都市型としての絶対の役割だと思いますので、そこをしっかり追求していきたいと思います。
それが結果としては経営的なところにもつながるでしょうし、改修するということは非常にお金がかかりますので、それをうまく回収していくことにも繋がっていくと思います。

【みんなで育む】
お客様にとって優しいスタジアムでありたいので、今のセレッソのお客様の意見をしっかり聞いていきたいと思います。
今、我々はJリーグの中で唯一、公式のファンサイト「まいど!セレッソ」を運営しており、そのファンサイトの活用や、意見を直接お聞きするような会を設けるなど、設計の中にみなさんの声を反映していくということも丁寧にやっていきたいと思います。
具体的な数字を言うと、収容人数は最終的には4万人規模を目指したいと思います。これは資金との兼ね合いなので、今こうなりますということがズバリではないですが、パース(完成予想図)では、ほぼ4万人規模の絵になっています。

今回の改修費用については、L字型(バックスタンド、アウェイゴール裏)の部分で、約50億円を想定しています。その資金については、みなさんの力をお借りして広く寄付を募い、またいろいろな補助金なども使い、まかなっていくことを予定しています。もちろん自己資金も必要ですが、寄付も広く募っていきたいと思います。
完成時期は、平成31年シーズンを目標にしたいと思います。工期は約2年強を想定しています。今回は我々が改修をして、完成した後に大阪市に寄付をさせていただき、その後は長期に渡り施設の管理をさせていただくことを想定しています。それらについては先日、大阪市に提案させていただきました。詳細については、これから協議をしていきます」

●長居公園の指定管理事業に関して
「先日から話題になっていました長居公園の指定管理事業ですが、一般社団法人セレッソ大阪スポーツクラブを代表とするグループで、指定管理業者として選ばれました。この後、市議会で議決をされて最終的な決定となります。来年4月1日から5年間、長居公園の指定管理をさせていただく予定になっております。 ※詳細リリース
つまり、長居公園全体の指定管理を行いながら、ホームゲームのサービスをしっかり向上させる。今まではセレッソ大阪という名前で長居を使わせていただき、お客様に来ていただいていましたが、今後はホームスタジアムがある長居そのものにお客様に来ていただきながら、セレッソを知っていただくということも訴求していき、スタジアムを育てていきます。
かなり大きな事業なので、これからいろいろなことをやっていかなければならないと思いますが、お客様にとって夢のある、親しみのあるスタジアムにしていきながら、チームをしっかり強化して、この新しくできたスタジアムで、ACLをたえず戦っていくという流れになればいいなと思います」

質疑応答につづく