「2017 チーム始動記者会見」での、尹晶煥監督、大熊清チーム統括部長への質疑応答は以下の通りです。
質疑応答-新加入選手- 


Q:柿谷曜一朗選手から、監督について「自分がU-18時代にトップチームで活躍していた天才が戻ってきた」という言葉がありました。改めて、監督として古巣のセレッソに戻ってこられた今のお気持ちを聞かせてください。
尹晶煥監督
「先ほども言いましたが、こうして戻ってくることができて本当にうれしく思っています。自分を呼んでいただいた社長、大熊さんに本当に感謝しています。いろいろな気持ちがありますが、まずは本当にうれしいです。責任感と同時に、うまくチームを引っ張っていきたいという気持ちがあります。年が経つたびに、いろいろなものが変わることは仕方のないことです。ただ、今季はJ1を舞台にチャレンジすることができますし、若い選手もいます。もちろん、練習ではきつく厳しいものが続くと思います。それでも、チームみんなが、生活も練習も楽しくできるように頑張りたいと思います」

Q:昨シーズンの後半、試合の視察も重ねていたと思いますが、どんな印象を受けましたか?
尹晶煥監督
「まず、大熊さんの情熱的なところを見させていただきました。そして、J1に昇格しようとする選手たちみんなの、気合いの入っている姿も見ることができました。もともと能力を持っている選手がたくさん揃っていますが、まだ若いなという感じがしました」

Q:若いというのは、具体的にはどういう部分ですか?
尹晶煥監督
「試合の流れにおいて、他のJ1の上位クラブに比べると、少し運営的な(マネジメント)能力が足りないなということは感じました。もちろんJ1経験のある選手もいると思いますが、流れを続けて持っていく、そういう力はまだ足りないなという感じです。でも、最後までよく戦ってくれて、J1という舞台でチャレンジできる機会を作ることができたので、そういう意味ではよかったと思います」

Q:鳥栖の監督時代には、いわゆる堅守速攻というスタイルを作り上げたと思います。今季、セレッソで尹監督が目指すスタイルを教えてください。
尹晶煥監督
「私だけではなく、他のクラブの監督も同じだとは思いますが、まずは守備からという展開があると思います。守備を堅くするのは当たり前だと思っています。これはDFだけではなく、試合に出ている11人が意識を持ってやっていかなければいけないと思っています。まず守備を堅くして、守備をはっきりできた上で攻撃に展開することを考えています。もちろん、守備だけでサッカーは勝てないもの。攻撃の部分に関しても考えています」

Q:先ほど、練習を厳しくするという言葉もありました。始動2日目にして3部練習が始まるという予定もあります。どのようにチームを変えていきたいと思っていますか?
尹晶煥監督
「まず、若い選手が多いので、もっとプロ意識を高めさせたほうがいいんじゃないかと思っています。なので、生活面からはっきりしなければいけない。そういうわけで早朝練習をすることになりました。もちろん、ただ走るだけではないです。プロとして生活リズムを取り戻すのが1つの目的であり、開幕戦まで時間があまりないので、体力的なもの、戦術的なものも(必要な練習として)ありますので、練習時間を少し増やして3部練習にしております」

Q:まずは守備から入るということですが、昨シーズンJ2で42試合46失点と守備のもろさが目立っていました。そこに対してどういう意識で取り組みたいですか?
尹晶煥監督
「もちろん問題はあったと思いますが、結果からいうと、J1の舞台に上がることができたのは大きな成果だと思います。皆さんが失点のところでご心配がありましたら、もちろん改善するつもりです。また、攻撃では展開からすばらしいゴールを決めさせるようにすることも考えています。そして、チームにはいい選手がたくさんいますので、そういうすばらしいプレーを皆さんにお見せすることも可能だと思っています」

Q:チームには、山口蛍選手、柿谷曜一朗選手、キム ジンヒョン選手など、2018年のFIFAワールドカップ ロシア大会を目指す選手たちもいます。監督から彼らに対して期待することは?
尹晶煥監督
「まず、そういう選手たちが皆さんにすばらしい試合をお見せすることができれば…と思っています。でも、個人個人のことになってしまうと、チームとしてうまくいかないと思います。もちろん、それは本人もそう思っていると信じています。みんながチームを考えてチームプレーをしてくれるのであれば、個人的な能力も上がると思うし、いい成績をあげられると思っています。そういう3選手だけではなく、みんなを信じて今から仕事をしようと思っています」

Q:ズバリ、今シーズンのチームの目標について、監督からお願いします。
尹晶煥監督
「まだ我々はタイトルを獲得することができていません。私も3年間在籍しており、準優勝は経験しましたが…。だとしても、今年絶対にタイトルを獲らなければいけないとは思っていません。今シーズンはJ1リーグで真ん中くらいの順位にはいかなければいけないと思っています。2桁順位より1桁順位がいいと思い、9位という目標を設定しました。
4、5月は試合が多くありますので、6月の中断期間までの試合結果を見て、もっといい順位でいるのであれば、もっと欲を持って上の順位を目指そうと思っています」

Q:今年再びJ1に挑むなかで、主力選手がほぼ残ったと思います。その点についてどのように思われますか?
大熊清チーム統括部長
「天皇杯で偶然にも鳥栖と戦わせてもらいました。結果的には負けたのですが、メンバーをターンオーバーとまではいかないまでも、日程を考慮しながら若手を使ったりして戦って、後半などはメンバーを替えていけば内容的にもできているという、自分のなかでの確信もありました。まずは、私が関わった2年間をベースという意味でいいところを残して、尹さんにバトンタッチをしたいと。尹さんとも相談しながら、そのメンバーで積み上げのあるようなチームを作るためにも、残すべき選手をまずは残さなければいけなかった。それが中途半端になって残らないということになると、新しい選手もプロテクトされたり契約条項があったり、金額のこととかもあり、(獲得は)そんなに簡単ではないので。まずはセレッソが築き上げてきて、残すべきものをしっかり残したいという思いがありました。正直、いい選手にはいろいろな競争もあったなかで、金額だけでなく、今まで築き上げてきたセレッソへの思いなどもあって残ってくれた選手がたくさんいます。昨年1年やったソウザも、セレッソに愛着を持って残ってくれました。そういうところも、本当によかったのかなと思います。
あとは、先ほども言いましたが、尹さんの考える足りない部分を補えないか。クラブが目指す方向性と尹さんの目指すサッカーを具現化するのに、一緒に相談しながら補強をしていったということです」

Q:強化について、課題のあった守備面ではヨニッチ選手、攻撃面では尹監督が鳥栖時代に指導されていた水沼選手や福満選手らも加入されていますが、補強の具体的な狙いは?
大熊清チーム統括部長
「ヨニッチは今25歳で、東欧(クロアチア)出身ですが、いろいろなものも学びながら厳しい韓国・Kリーグで活躍しました。彼の若さとともに、本来であれば私も尹さんも(ディフェンスラインを)4枚でやりたいので、きちっとしたDFを揃えて競争させなければいけない。日本国内では、なかなかセンターバックのいい選手がそんなに簡単に移籍で獲得できなかったり、年齢的なこともあったりして、それでヨニッチに来てもらったという経緯があります。彼1人のディフェンス能力だけではなく、ボランチのソウザもいるし、まずは尹さんが言われたディフェンスからしっかりやるというところを、私も同じ考えでしっかりとやりたい。
水沼、福満らについては、私の場合は(杉本)健勇を左の中盤で使ったのですが、尹さんとの話のなかで本来ならば彼の能力はFWでも充分にできると。そういう彼のポリバレントなところを生かして、中盤を厚くしていく。かつ、尹さんが試合を見るたびに、少しボールを持ちすぎてクロスで終わっている場面が少ないという指摘があったので、その補強をしていったというところです。
水沼は、尹さんのサッカーを非常に共有できていて、苦しいところでの踏ん張りとか、鳥栖を強くしたところとか、気持ち的なものとか、一緒にやってきている。そういういろいろな部分が共有できていることで、他の選手にも多くの遡及ができるのではないかということで補強させていただきました」