紆余曲折あった2015年のJ2リーグ、悔しいJ1昇格プレーオフ…。
チームを日々取材しつづけた「セレッソ番」の前田敏勝さん、和田りつ子さん、小田尚史さんの3人が、熱く語ってくださいました。
出席いただいた3記者profile 
バックナンバー

勝てば、いい采配だということになったんでしょうけど…

--パウロ・アウトゥオリ前監督の考え方についてですが、日々接してこられた皆さんとしては、どう感じられていましたか?
和田「前監督は、日常的に取材できる日が週2日と限られていたので、考えておられることがつかみづらかったのはあります。週の半ばに紅白戦をして、それについて聞きたいと思っても、金曜日まで聞けないとか」
小田「ですね。1週間練習してきて、いざ試合になると練習とは違うメンバーが出るということもあったり」
前田「当日にメンバーを告げることもあったようです」
和田「もちろん、いつ呼ばれてもいいように準備はしておけよ、ということなんでしょうけど、チームとしてよかったからこのままのメンバーだろうなと思っていたら、アレ、変わるの?と。私たちはかなり戸惑いました。選手も…」
小田「そう、さっきの誕生日の試合(4月11日の金沢戦)については、玉田(圭司)選手に試合前日いろいろ話を聞いていました。『今まで、誕生日には取ったことないんだよね』なんて言いながら、本人はかなりやる気だったんです。実際、それまで6試合負けてなかったですしね。勝てば、いい采配だということになったんでしょうけど、金沢戦で負けちゃって…この辺から徐々に、選手間に微妙な違和感みたいなものが出だした気がします」
和田「そうなんですよね。試合に使われる、使われないというところで、選手の気持ちにガサガサ感が出て、それがチームのまとまりを邪魔したというか」

初の敗戦となった金沢戦。0-2の完敗に肩を落とす玉田圭司選手、励ますようなしぐさを見せるフォルラン選手。玉田選手はこの日が誕生日だった。

相手に分析されて、J2の洗礼も…

--そのなかで、実力も実績もある玉田選手は感情をあらわにすることはなかったです。これは、マイセレでインタビュー をしたときも聞いたんですが…。
小田「ホントですよね」
和田「関口(訓充)選手もですね。J2は休みがないから、選手がキレてぶちまけたりしたら収拾がつかなくなるということを、経験のある選手たちはわかっていたんだと思います」
小田「2人とも今年にかける意気込みは強かったですからね」
和田「彼らがいなかったら4位には絶対に入れなかったですよ」
前田「間違いないです」
和田「もちろんほかの選手もみんな頑張ったと思います。でも、フラストレーションの溜まるなかで、特にこの2人はよく頑張ってくれはったと思います。不満を言うことなく…賢い人たちだと思いました」
小田「関口選手は、第2節(大宮戦)が終わったあとに言ってたんですよ。『次の岡山は、走るチームだから、そこで負けないようにしたい!』って、出る前提で話していたんです。たらればは言っちゃいけないけど、あの岡山戦で出ていたら…。1人の選手で試合が変わるのか、と言われるかもしれないけど」
和田「でもその走る背中を見て、他の選手も変わるかもしれないですから」
小田「岡山戦も83分に失点しているんですよ。もうちょっとのところでね」
前田「J2は常に走るチーム、ハードワークするチームが前提なのに、走り負けるサッカーをしてしまったというのが、残念です」
小田「金沢(第7節)と当たるころには、相手選手もわかっていて、『セレッソは終盤で動きが落ちる』とか『耐えておけば終盤にチャンスが来る』という分析をされていました」
和田「そうなんですよ。1点ぐらいに抑えておけば大丈夫、みたいに相手に言われるのが悔しかったです」
前田「マイセレに掲載するために、相手選手のコメントを取りに行くたびに『そうですよね、そうですよね』と思いました。見透かされているなあと…」
和田「相手の監督さんに、かなり分析されていましたね」
小田「ちょっと引っ張りすぎましたね。わかるんですよ、最初は。フォルランとカカウがいて、彼らはすごい個々の能力、シュートやロングレンジのパスとかを持っているのは確か。うまくかみ合って、J2ならゴールを量産できるという可能性もあったから、わかるんですけどね…。讃岐戦京都戦に連勝したあとの、やっぱり福岡戦(第11節)ですよ!ポイントでしたね」
和田「そのあとに北九州(第13節)に勝ったことも、いけるかなと思わされてしまった」
小田「北九州戦は、中盤の3人がめちゃめちゃ頑張ったんですよね。相手の担当記者にも言われました。前半戦は、アーリア(長谷川アーリアジャスール)、(山口)蛍、扇原(貴宏)の3選手が中盤でホントよくがんばりましたよ。蛍くんなんかもっとしたいことがあったと思うけど、我慢して役割を忠実にこなしていました。それでなんとか勝点を積み上げた序盤戦でしたね」
和田「J2の洗礼を受けましたね。セレッソの外国籍選手はいわばJ1仕様だったから、相手のいいところを消してくるJ2のサッカーというのは難しかったです」

第13節の北九州戦。主にディフェンス面での奮闘が目立った山口蛍選手。
Vol.3に続く 

【出席いただいた皆さん】
前田敏勝さん(左)
Jリーグ公認ファンサイト「J’sGOAL」セレッソ大阪担当。セレッソのオフィシャルメディアや雑誌、WEBなどで広くサッカーライターとして活躍中。
和田りつ子さん(中)
元女子1級審判で、スカパー!の中継レポーターの経験も豊富。サッカーの見識、愛情ともに深い“おしゃべり屋さん”。セレッソ大阪堺レディース、ガールズも取材。
小田尚史さん(右)
『エルゴラッソ』のセレッソ大阪担当として、ホーム、アウェイの試合、トレーニングと広く深く取材を続けている。熱い記事が持ち味の気鋭のライター。
進行・まとめ
横井素子(まいど!セレッソ~マイセレ~編集担当)

2015年12月15日実施