オフ企画「2015年選手別レビュー」では、セレッソ番の3記者が、今季の活躍ぶりや日々の取材の中で印象的だったことなどを、選手ごとに振り返ります。


酒本憲幸の2015年

 チーム最古参、セレッソ一筋13年目。毎年とは違った形(終盤にかけて調子が上がってくる)で開幕スタメンを勝ち取り、23試合にスタメン出場1アシスト。攻撃的な右サイドバックは左サイドバックの丸橋祐介とともにセレッソのウリ。パウロ・アウトゥオリ監督はポジショニングと守備のバランスを重視したため、今季はアシスト数が伸びなかったのだろう。ただ、精度の高い右足クロスと相手との駆け引きのうまさは健在で、右サイドやDFラインを組む選手たちの特徴や良さを引き出す術は賞賛もの。
 ベテランの移籍加入組が多いなか、既存選手との間に入り潤滑油的な存在として、また若い選手のよい兄貴分として、練習中も面倒見のよさを感じることができるシーンが多かった。練習終了後にはLOWパワー的なトレーニングを兼ねてのランニングを行うのが恒例。紅白戦で、Aチームの時だけでなく、たとえBチームであってもフルパワーで取り組んでいる姿はモリシこと森島寛晃アンバサダーの現役時代を彷彿とさせる。

 ライターからひとこと

 シーズン中に「上位のチームには勝てるのに下位のチームに取りこぼしている。下位チームにも勝てるようにしないと順位も上がってこないし、後々に響いてくる」と課題を語っていた。また、残り10試合を前にして、「もう少し余裕を持って、この時期を迎えたかった」と話していたのも、厳しいJ2での戦いを知っているからこそ。“Mr.セレッソ”と呼ばれることに本人は恐縮しているが、サポーターは信頼を込めてそう呼んでいる。来年は14年目、さらに味のあるシャケさんが見られそう。

文・和田りつ子

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