オフ企画「2015年選手別レビュー」では、セレッソ番の3記者が、今季の活躍ぶりや日々の取材の中で印象的だったことなどを、選手ごとに振り返ります。


茂庭照幸の2015年

 シーズン前半は試合のクローザー的存在としてパウロ・アウトゥオリ監督からも信頼されていた。だが、スタメン出場は第18節・水戸戦と監督交代後のリーグ戦最終盤の3試合、J1昇格プレーオフの2試合の計6試合のみ。シーズン前に「リーダーシップをとれる声の補強」と大熊清強化部長が強調していたが、それがシーズン最後に生きることとなった。
「チームのために…」。常に、セレッソをよくしたいと口にしていた。J2最終節・東京V戦で決めた魂の2ゴールはチームを奮い立たせ、復活した山下達也との「黄金のセンターバックコンビ」で、J1昇格プレーオフ準決勝の愛媛戦を完封。決勝でも87分まで福岡を0に抑え、J1復帰を手中にしかけたが…。
 練習では、スタメン以外のメンバーのモチベーションにも気を配り、時には声をかけながら引き締め、自らはガンガンプレーする。この茂庭の姿勢が、チームの雰囲気がよくない中でも順位を下げさせなかった要因ではないかと思う。常に万全のコンディションではなかったものの、大切な場面ではスーッと自然な形でポジショニングしている姿は、どんな状況でも“第一線で身体を張ってきた男”の頑強さを現していた。

 ライターからひとこと

 最終節のゴール後の雄叫びと真っ先にベンチへと走っていった姿には、陰ひなたなく1年間チームを支えてきたからこその思いが詰まっていた。試合後には「Jリーグでのゴールは十数年前のことなのであまり覚えていないんですが、気持ちいいものですね」。その後に出てきた言葉も、ベンチに入れなかったり試合に出られなかったりが続く選手の気持ち(ご自身を含め)を代弁するもので、取材をしながらジーンときました。
 J1昇格プレーオフの2試合でも、“茂庭照幸ここにあり”をプレーで表現。ヤンマースタジアム長居に立つユニフォーム姿のモニさんは、とても絵になりました。来年は、もっともっと試合に絡んでいただきたいです!

文・和田りつ子

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