「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。今年は例年より多めに人選していますので、最後までお楽しみに!


関口訓充の2017年

 セレッソ大阪へ加入して3年目となった今季。関口訓充は、開幕スタメンを勝ち取ると、シーズン序盤は、清武弘嗣と水沼宏太がケガで出遅れた2列目で活躍。J1第6節・鹿島アントラーズ戦 では、長い距離を走って前線まで駆け上がり、見事なクロスで山村和也のヘディングゴールをアシスト。昨季の王者を敵地で破る原動力となった。
 中盤戦以降はリーグ戦ではベンチスタートが増えていったが、今度はルヴァンカップにプレーの場を移すと、リーダー格としてチームを引っ張り、グループステージを突破。ノックアウトステージでも献身性を発揮して最後まで走り抜き、悲願の初タイトル獲得に貢献した。
 自身もリカルド サントスへのアシストで勝利に貢献したコンサドーレ札幌とのプレーオフステージ第1戦 の試合後、「カップ戦は、リーグ戦であまり出ていない選手たちで戦っているけど、一体感を持って戦えている。みんなが一生懸命プレーして、助け合っているのがこのチームの良さ」。そう堂々とした振る舞いで話す姿は印象的だった。

ライターからひとこと

 先日、今季限りでの契約満了が発表 されたが、この3年間、関口がセレッソ大阪に残した功績は大きい。
「あっという間だった」と振り返るセレッソでの選手生活、真っ先に思い起こされるのは、加入した2015年。「やる気がないなら(ブラジルへ)帰れ!」そんな激しい言葉で仲間を叱咤したこともあった。J2に降格した2014年の下半期は、失点すると下を向くような雰囲気が流れてしまったが、それを戦うメンタリティーへと変化させていった。闘志を前面に出すスタイルは異色であり、時に指揮官に誤解されることもあったが、強い気持ちが当時のチームには必要であり、1年でのJ1復帰を目指すチームをプレーの面でも引っ張った。
「2015年に加入した選手は、タマさん(玉田圭司)にしてもハシさん(橋本英郎)にしても、このチームを良くしようと思って来た選手たち。あの年があって、今があると思う」。最終的にJ1昇格プレーオフ決勝で目標は絶たれてしまったが、“セレッソの誇り”を胸に走り抜いた15年を決して忘れない。
「セレッソに来て、常に試合に出続けることができたシーズンは1年目くらいだったけど、2年目でJ1に昇格して、3年目の今年はタイトルも獲れた。今年はサブ組が頑張ってルヴァンカップは優勝まで行けたと思うし、自分たちもチームに貢献できた」。そう話す関口に、「セレッソにきて良かったか」と尋ねてみると、深くうなずき、次の言葉を続けた。
「今度の天皇杯決勝がセレッソの選手として迎える最後の試合。今週の練習が、セレッソの選手としてやれる最後の練習。(ケガからの復帰を目指す段階のため、全体練習には合流できないが)なるべくグラウンドに出て、みんなと時間を共有できればいいなと思う。ボールも徐々に蹴っていこうと思う。まだまだサッカーをやりたいし、やれる自信もあるので、頑張ります!」
 来季、どのユニフォームを着てプレーしているのか現時点ではわからないが、どのクラブへ行ったとしても、サッカーと向き合うスタンスは変わらないだろう。その熱で、その走りで、チームを盛り上げていくはずだ。

文・小田尚史

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