「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。今年は例年より多めに人選していますので、最後までお楽しみに!


清武弘嗣の2017年

 今季、スペインのセビージャFCからセレッソ大阪へ復帰した清武弘嗣。Jリーグでのプレーは実に4年半ぶりとあって、大きな注目を集めた。しかし、2017年を振り返ると、度重なるケガに泣かされ、リーグ戦は18試合の出場に留まった。
 特に、J1第16節・ベガルタ仙台戦 で左ハムストリング筋損傷を負うと、その後は長期離脱を余儀なくされた。この間、様々な葛藤があったことは想像に難くない。それでも、8月22日、舞洲の練習場に戻って来たときの表情は明るく、「ここからじゃないですか。まだ全部の大会で優勝を狙える位置にいる。みんな頼もしいし、自分もギアを上げていきますよ」と復帰へ向けて努めて前向きに話していた。迎えたJ1リーグ戦での先発復帰となった第29節・サガン鳥栖戦 では、水沼宏太のクロスからヘディングを決め、決勝点。チームもこのあと公式戦7連勝(直前のルヴァンカップ準決勝第2戦から8連勝)と快進撃を続け、この間にはクラブにとって悲願の初タイトルとなったルヴァンカップ優勝も果たした。
 記憶に新しい2018年1月1日、横浜FMとの天皇杯決勝 でも120分を走り抜き、2冠に貢献。特に、山村和也のクロスに水沼が頭で合わせたセレッソの2点目は、その直前に清武の果敢なドリブル突破で相手DFを引きつけたことが伏線になっていた。タイトルへ向けた思いの強さが伝わるプレーが、風穴を開ける形となった。
 シーズンをフルで戦い抜くことは叶わずとも、質の高いプレー、懸命にピッチを走って戦う姿勢で、清武はサポーターを魅了した。

ライターからひとこと

「セレッソ大阪にはタイトルが必要」(開幕前)、「今季はタイトルが狙えるチームだと思う」(5月)「1つタイトルを獲れば、またもう1つと欲は出てくる」(ルヴァンカップ優勝後)。
 強い気持ちを携え、セレッソに復帰した今季。取材メモを振り返ると、清武選手は事あるごとに「タイトル」という言葉を発していました。思いは言葉にしなければ伝わらないし、実現しません。その一方で、言葉にすれば、そこには責任が生まれます。そして、覚悟も決まります。2つのタイトルを獲得した今季は、そんな彼の強い思いがヒシヒシと伝わってきました。
「来季はもっともっと練習から声を出して引っ張っていきたい」。チームに与える影響力が大きい彼の熱が今季以上に全体へ伝播したとき、チームはさらなる高みへ向かうでしょう。

文・小田尚史

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