「まいど!セレッソ」のオフ恒例企画となった「選手別レビュー」。
実り多きシーズンの終わりに、番記者が思いを込めて各選手たちの活躍を振り返ります。


福満隆貴の2017年

 献身的な守備と豊富な運動量、相手DFラインの裏やゴール前に飛び込んでいくプレースタイルは、かつての“モリシ”森島寛晃さんを彷彿とさせます。地域リーグから一歩一歩ランクアップし、ついにJ1の舞台でプレーするまでになったのは、日々の努力の賜物なのだと思います。
 ただ、2017年から移籍したセレッソでのデビューは、U-23でのJ3第2節・秋田戦 でした。ルヴァンカップでも、当初は試合途中からの出場ばかり。「シーズン初めは試合に出られなくて辛い思いもしました。でも短い時間でもしっかりとアピールして、チャンスをモノにしたいと思っていました」。
 シーズンの経過と比例するように、尹晶煥監督からの信頼も徐々に厚いものに…。『ルヴァン組』ではグループステージ第4節・広島戦 から先発に定着。チャンスを掴むと、プレーオフステージ第1戦・札幌戦 ではセレッソでの初得点。簡単ではない浮き球を高い技術でコントロールし、相手GKの不意を突くゴールでした。つづく第2戦 でも、この試合唯一のゴールでチームを勝利に導く活躍ぶりで、ルヴァンカップでは準決勝まで12試合に出場。決勝の前、「地域リーグで戦っていた昔の自分からすると、ルヴァンカップの決勝の舞台に立てるかもしれないという今の自分は想像すらできなかった」と感慨深い様子で話していました。
「サッカーが好きという気持ちを持ち続けてきて良かったです」と語る2017年、リスペクトの姿勢を大切にいつも謙虚に、そして熱くプレーする姿は観る者の心を鷲掴みにしました。12月19日には第2子となる男の子も誕生、名前の通り「福」に「満」ちたシーズンを終え、オフは愛する家族からパワーをもらってさらにやる気に満ちあふれているはず。2018年の活躍が楽しみです。

ライターからひとこと

 シーズン当初、練習後や試合後に少し表情を曇らせながら、代理人の方と長く話す姿が多かったと記憶しています。少しずつ試合に絡むことが増え、チームメイトとの交友が深まるとともに表情が変わっていき、プレーにも福満選手らしさが光るように…。
「雑草魂」の持ち主ですが、少女漫画から抜け出してきたような、口元から八重歯がのぞくかわいい笑顔。小柄ながら、ピッチに立つと大きく感じるダイナミックなプレースタイル、そのギャップがたまらない!天皇杯決勝の前にも、「このチーム、セレッソに来てよかった!」とまぶしいほどのすてきな表情で話していました。
「育成型クラブ」を標榜するセレッソは、アカデミーの選手を育てあげるだけではないのだと福満選手が証明してくれたように思います。

文・和田りつ子

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