各選手たちの1年を、番記者が思いを込めてつづった「選手別レビュー」。
新シーズンに向けての期待感とともに、お読みください!


酒本憲幸の2017年

 セレッソ現役最古参、チームを知り尽くす「バンディエラ」(旗頭。同じチームで活躍し続ける選手)。慣れ親しんだ17番から、敬愛する桜のレジェンドの1人・西澤明訓氏が背負っていた20番をまとって挑んだ2017年シーズン、自身初となるクラブタイトルを2つも獲るという機会を得ることができた。
 ただ、2003年にプロ入り後、毎年続けてきたリーグ戦での出場が、2017シーズンは初めて0に…。サイドバックの激しいポジション争いのなかで、なかなか登録メンバー入りさえできず、試合をスタンドから見つめることも多かった。それでも練習では前向きに精力的に動き、イレブンを盛り立てる。そういう彼の姿があったからこそ、チームは1つにまとまっていたと言えるだろう。
 また、「本当にすばらしい人間性を兼ね備えた選手たちがチームを引っ張っていく、そういう過程を見ることができた」と小菊昭雄コーチも絶賛する、いわゆる『ルヴァン組』と言われた選手の1人としても、ピッチ内外でチームへの貢献度は高いものがあった。
 さらに、セレッソU-23ではオーバーエイジ枠でJ3リーグ戦7試合に出場。鹿児島や富山、栃木といったアウェイでの戦いにも参戦し、ひたむきにプレーし続ける姿は、自らのサッカーへの強い想いの表れ。若手にもいい刺激になったはずだ。
 ルヴァンカップと天皇杯の決勝後、カップアップする姿はとても印象的な光景。そのシーンを、これからも何度も見たい。得意の右足1本で勝負する姿とともに。

ライターからひとこと

 2016年のJ1昇格プレーオフのときと同じく、ルヴァンカップや天皇杯で優勝したあとに行う「1人カップアップ」は、いまやセレッソの名物芸。その姿に表れるように、かつてはチームメイトをいじり倒すことの多かった酒本選手が、最近は年下の選手からもいじられまくることも多くなりました。そのキャラクターで、チームを和ませられる酒本選手の存在は本当に貴重。シュート練習でゴールを決めたとき「よっしゃ〜!」と言いながらガッツポーズを決め、ピッチを明るく盛り立てるところは、セレッソらしさの象徴なのかなと感じます。
 あの切れ味鋭い右足からのクロス、独特のフェイントを織り交ぜたドリブルなど、酒本選手らしいプレーは見ていてわくわくするもの。2018シーズンも、『シャケ』コールを背に走り続ける酒本選手の奮闘を、大いに期待しています。

文・前田敏勝

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