まいど!セレッソ~マイセレ~のオフ恒例企画「選手別レビュー」。
各選手の2018年がどんな1年だったのか、番記者・小田尚史さんが綴ります。


水沼宏太の2018年

 サガン鳥栖時代に師弟関係を築いた尹晶煥監督に引っ張られる形でセレッソ大阪の一員となった2017年、水沼宏太は得意のクロスでアシストを量産。天皇杯では準決勝のヴィッセル神戸戦、決勝の横浜F・マリノス戦と連続してゴールを決めるなど印象的な活躍を見せた。そんな“完全復活”とも言える1年を経て迎えた2018年は、セレッソに完全移籍を果たし新たな気持ちで挑んだが、結果という点ではシーズンを通して不完全燃焼に終わった。
 特に、チームが3バックを採用した第21節からは、J1リーグ戦で7試合連続先発から外れる悔しい思いも味わった。それでも、久々の先発となった第29節・ガンバ大阪戦 を前に、「外から見て感じたことはいろいろあったし、『もっとこうしたらいいんじゃない?』ということは話した。外れていた時期もあったけど、それでサッカー人生が終わるわけではないし、試合に出られなくても自分の成長のために、毎日しっかり練習をやり続けることが大事だった」と話すなど、どんな状況に置かれても前向きな姿勢を失うことはなかった。そういった姿勢が1つの結果に結びついたのが第30節・FC東京戦 。0-0で迎えた84分、ロングカウンターからドリブルでシュートに持ち込み、清武弘嗣の決勝点につなげてみせた。
 尹監督とは、練習後にグラウンドで話す場面が誰よりも多かった水沼。厚い信頼関係で結ばれていただけに、尹監督のセレッソラストマッチとなったリーグ最終節は万感の思いで迎えた。「僕自身は本当に監督に感謝しているし、教えてもらったことは絶対に忘れたくない」。2019年も尹監督がチームに植え付けたマインドは、ピッチで体現していくつもりだ。

ライターからひとこと

 上にも記したように、いつでも前向き、真摯にサッカーに取り組む姿勢が水沼宏太選手の真骨頂でもあります。練習でも、そんな彼の持つポジティブな空気が周囲に広がっていくことは少なくありませんでした。
 また、必要なときに、必要な言葉をしっかりと伝えることができることも、彼の良さです。第33節・柏レイソル戦後のコメント は、これからのセレッソにとっても、とても重要な意味を持つ言葉だったと思います。監督が替わり、新たなスタートを切る2019年。水沼選手の持つエネルギー、発信力は、変わらずチームの力になるでしょう。

文・小田尚史

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