まいど!セレッソ~マイセレ~のオフ恒例企画「選手別レビュー」。
各選手の2018年がどんな1年だったのか、番記者・小田尚史さんが綴ります。


清武弘嗣の2018年

 セレッソ大阪復帰2年目となった2018シーズン。出だしは順調だった。宮崎キャンプの途中からチームに加わった17年とは違い、18年は始動からチームに帯同。オフが短い懸念はあったにせよ、タイキャンプ、宮崎キャンプを完走し、コンディションをしっかり作ってシーズンに臨んだ。
 J1リーグ開幕前の川崎フロンターレとのFUJI XEROX SUPER CUP では得点も奪って勝利に貢献。幸先良いスタートを飾ると、続くACLグループステージ初戦・済州ユナイテッド戦 も、先発して90+1分までプレー。闘志むき出しで相手と激しく競り合った。試合後、「気持ちのぶつかり合いで負けたら良くないと思ったので」と充実の表情を浮かべていた。ところが、アクシデントが発生したのは、続くACLグループステージMD2・広州恒大戦を控えた練習中。右腓腹筋筋損傷で、本人も「予期していなかった」離脱となり、自身のインスタグラムに悲痛な思いを綴った。
 先発復帰となったJ1リーグ第10節・ベガルタ仙台戦 で2得点。華々しく復帰を飾るも、第12節・名古屋グランパス戦 では23分で、第15節・サンフレッチェ広島戦 は52分と、いずれも早めの途中交代。万全の状態には遠く、FIFAワールドカップロシア大会の日本代表入りも逃した。
 もっとも、夏場の試合に出続けて調子を上げていくと、クオリティーの高さを随所に発揮。決定機を何度も作った。「キンチョウスタジアム ラストの一戦」と銘打たれた第26節・ジュビロ磐田戦を前に再び負傷離脱するも、第27節・湘南ベルマーレ戦 には復帰し、シーズン終盤の第30節・FC東京戦 では試合終盤に決勝点。リーグ最終節の横浜F・マリノス戦 でも逆転弾となる決勝点を再び叩き出し、最後は笑顔で18年を終えた。
 セレッソへ復帰後、ともに歩んだ尹晶煥監督との2年間を振り返り、「練習からの激しさや声の出し方を含め、厳しさは確実に増した。今までタイトルを獲れなかったクラブに星を2つ付けてくれたのはすごいこと。その方向性は継続してやっていかないといけない」と結んだ。

ライターからひとこと

 2018年もケガとの戦いを強いられた清武選手。辛くもどかしい気持ちを抱えていたことは想像に難くありません。「ケガをして、強いて得たものは?」を問いかけたとき、「自分の体とより向き合うようにはなったし、『自分は1人ではないんだな』と感じました。体だけではなく、気持ちもきつかったんですけど、家族もそうだし、トレーナーやフィジカルコーチ、チームメイトやサポーター…たくさんの人が自分に協力してくれて、関わってくれたので、孤独ではなかった。ケガをして学んだことを強いて挙げるとすれば、そういう人たちの気持ちをより感じることができたことですね。いろいろな人がそばにいてくれたことは、自分のサッカー人生としてもありがたいし感謝しないといけない」と答えてくれました。家族をはじめ、自身を支えてくれたメディカルスタッフやチームメイトに感謝の気持ちを感じるとともに、サポーターとの絆もより深まったことでしょう。
 シーズン後に行ったインタビューでは、「僕自身、ケガも多くて申し訳ないシーズンになった」と前置きしつつ、「今季は、クラブとしてもなにかしら甘いところがあった。なんでこういう結果になったのか、深く考えないといけないし、自分自身もっとリーダーシップを持って引っ張っていかないといけない」とも話していました。強い決意を胸に迎える復帰3年目の2019年こそ、万全の状態でピッチに立つ試合を1試合でも多くし、思う存分プレーしてほしい。そう願うばかりです。

文・小田尚史

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