先週の日曜日4月12日は、プレナスチャレンジリーグWEST第2節、セレッソ大阪堺レディースと益城ルネサンス熊本フットボールクラブの試合会場であるJ-GREEN堺にいた。青々としたS1メインフィールドのピッチでウォーミングアップをする選手たちを眺めていたら、「ずいぶん、体が大きくなりましたね」と、試合の役員の方に声をかけられた。
 確かに…2年前の2013年、チャレンジリーグにデビューしたときは、年齢も体つきも、相手とはまるで子ども対大人。特に華奢な選手は、相手のお姉さん選手と競り合うたびにふっとばされていたっけ。

 日曜日の相手、益城FCの選手たちもがっちりとした体躯の選手が多かったが、セレッソの選手が「ふっとぶ」ことはほとんどなかった。この2年間、食事に気を配り、トレーニングで鍛えてきたから、一見細く見えても体は強くなった。試合内容も成長著しいものだった。積極的にボールを奪う、つなぐところはつなぐ、ドリブルで仕掛ける、サイドを使う、ある時は遠目から直接狙う。ほとんどの時間帯で主導権を渡さず、3-0で勝つことができた。今年は、開幕前からメンバーが欠けることなく準備ができたことも大きいが、それより強く感じたのは積み重ねの大切さだ。

 竹花友也監督を筆頭にした岡本三代ヘッドコーチ、轟奈都子コーチ、高橋優コーチ、山科花恵アシスタントコーチ、柴田郁美トレーナーというスタッフ陣は、3年目を迎える。継続して選手たちを見ることができるアカデミー(育成)ならではの環境なのだが、それが今シーズンに入って、大きくモノを言っている気がする。目指すサッカーをぶれることなく植えつけられるのは大きい。

金沢の組織だったディフェンスに苦しんだセレッソ。この完敗を今後に生かさなければならない
 そんなことを考えたのは、前日の明治安田生命J2リーグを見たあとだったからかもしれない。セレッソ大阪はツエーゲン金沢と対戦し、0-2で敗れた。試合後の金沢・森下仁之監督の記者会見が印象的だった。
「ここまで6試合いい結果が出せている。相手を恐れることなくトライしていこうと試合に入った。相手にはクオリティーの高い選手がいるけれど、グループとしてどう戦えるかがテーマだった」というチャレンジャーとしての姿勢。「前半、サイドに振られて間を突かれたが、そこを耐えた上で1点取って、やることが明らかになった。後半は長いボールが多くなって、出どころがわかっていてはね返すだけだったからわかりやすかった」という冷静さ。そして、「昨年からやっていることは変わらない。昨年からいる選手と新しい選手がかみ合っていて、特にディフェンスの部分で共有ができている」。さらに、「いつ勝てなくなるか不安はある。自分たちのやっていることを信じてやっていけるかどうか」とも話していた。朴訥としたなかに自信がにじみ、加えて謙虚さも感じられるいい会見だった。

 翻ってわがセレッソは、今シーズンはまったく新しいチームとしてスタートした。戦うステージはJ1からJ2へ。強化の責任者が交代し新監督を迎え、選手の顔ぶれもかなり変わった。チームを作りながら戦っているというのが現況だろう。プロフェッショナルとして常に結果を求められるのは当然だが、チームの熟成となると、もう少し時間が必要な気がする。パウロ・アウトゥオリ監督は、今のチームづくりの進行度合についてどう見ているのだろうか。興味深い。

文・横井素子
◆横井素子 プロフィール 奈良県奈良市生まれ。広告代理店勤務のあと、フリーランスの編集・ライターとしてセレッソ大阪の広報ツールの制作などに携わる。 1999~2000、2008~2011年はセレッソ大阪トップチーム広報担当、現在はセレッソ大阪堺レディース広報担当、セレッソ大阪公式ファンサイト編集責任者を務める。
◆「セレッソ・アイデンティティ 育成型クラブが歩んできた20年」(幻冬舎)
セレッソ大阪の全面協力を得て制作された、チーム創立20周年記念書籍。 香川真司、乾貴士、清武弘嗣、そして柿谷曜一朗。日本屈指のタレントがセレッソから続々と輩出されるのはなぜか。それぞれに独占インタビューを敢行し、セレッソ大阪のヒミツに迫る。 ・価 格:1,400円+税 ・著 者:横井素子 ・発 行:幻冬舎 ・発売日:2013年12月12日 ・amazonで購入