6月14日は「モリシの日」。13年前、FIFAワールドカップ日韓大会で日本代表が決勝トーナメント進出を決めたチュニジア戦@長居で、モリシがゴールした日だ。
 あのゴールは、幸運にもスタジアムのバックスタンドで見ることができた。何がどうなって得点になったのか、そのときはよくわからなかった。が、目の前でゴールネットが揺れて、モリシのシュートによるものだとわかった瞬間の興奮ははっきりと覚えている。前のほうに座っていた岡山一成さん(元・セレッソ大阪、現・奈良クラブ)が、振り向きこぶしを振り上げて「やったー!!」と言ったのを見て、さらにうれしくなったことも。

 モリシは本当にすごい。あの大舞台で、あの大事な試合でゴールするなんて。しかも、セレッソ大阪のホームスタジアムで決めるなんて…。そして、この6月14日をずっと大事にしてきた人たちの存在もまた、すごい。2003年以降、この日を「モリシの日」として、サポーター有志の方々はお祝いを続けてきた。そして、昨年皆さんが本人の承諾を得て、一般社団法人日本記念日協会に申請し登録されたのだ。サポーターの皆さんが大切にしてきた宝物のような日、それが6月14日である。
 クラブの中にいて日々モリシ本人と接していると、その腰の低さや気安さについつい忘れがちになってしまう、すごさ、すばらしさ。ふとした瞬間に、ハッと気づかされ、思い出させてもらう。
 ドイツに渡った香川真司選手に、「森島さんは、セレッソのレジェンドでしょう?セレッソはそういうことをもう少し大事にしたほうがいいかもしれないね」と言われたとき。また、今はスイスでプレーする柿谷曜一朗選手がことあるごとに、「森島さんのすばらしいところ」「自分がいかに森島さんを尊敬しているか」を口にするのを聞いたとき。ライバルクラブのスタッフに、「うちには森島さんのような存在はいない。森島さんのような人がクラブにいるって、大きいですよ」と言われたとき。

 本当にすばらしいものは、目立たないものなのかもしれない。声高に主張することはなく、まじめに一生懸命仕事をこなし、どんなときも誰に対しても丁寧に、親切に接する。モリシはそういう人だ。そして、「6月14日」について、ずっと思いをつないでくださったサポーターの皆さんの心もまた、ひっそりとしながらも温かいものだ。

 記念日制定1周年の今年は、「モリシの日」のイベントを行うことになった。「拝啓 モリシ様」にお寄せいただいたメッセージを読むと、忘れかけていたことがよみがえり、モリシを大切に思う人たちの気持ちが伝わってくる。6月14日のイベントでは、そんな思いを共有したい。

【6/14モリシの日】記念イベント実施のお知らせ
【6/14モリシの日】プレイベント情報

文・横井素子


◆横井素子 プロフィール
奈良県奈良市生まれ。広告代理店勤務のあと、フリーランスの編集・ライターとしてセレッソ大阪の広報ツールの制作などに携わる。
1999~2000、2008~2011年はセレッソ大阪トップチーム広報担当、現在はセレッソ大阪堺レディース広報担当、セレッソ大阪公式ファンサイト編集責任者を務める。


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