明日8月8日は、キンチョウスタジアムのオープンから5周年。2010年8月8日のこけら落としから5年が経った。思い返すと、何とも感慨深い5年間である。


 2010年、セレッソ大阪は、3シーズンにわたるJ2での戦いを終えて、勇躍J1に復帰した。開幕戦では、大宮アルディージャに苦杯をなめさせられたが、チームは次第にJ1での戦いに慣れ、調子を上げていった。香川真司選手をドルトムントに送り出したのはこの年の7月。改修なったキンチョウスタジアムで、渡欧直前に動画撮影を行った思い出がある。
「キンチョウスタジアムはすごくいいスタジアムなので、みなさん、ぜひ来てください。そして、ドルトムントのスタジアムにも、ぜひ!」。こけら落としに際しての香川選手のコメントは、こんな感じだった。(実際、香川選手はキンチョウスタジアムではプレーしていないが…)

 こけら落としの川崎フロンターレ戦は0-0のドロー。「近すぎる熱狂空間へようこそ!」というキャッチコピーで始まったセレッソの新しい“劇場”での初勝利はお預けになったが、上位同士の対決で、多くのシュートが飛び交う熱戦だった。初勝利は、その10日後のFC東京戦。キレキレのFWアドリアーノのゴールを皮切りに、4得点をあげての大勝をおさめた。
【金鳥スタ5年間の思い出フォト】2010.08.08 こけら落とし
【金鳥スタ5年間の思い出フォト】2010.08.18 記念すべき初勝利

「マイセレ」で【金鳥スタ5年間の思い出フォト】を連載するにあり、5年間の写真のデータを見返した。つくづくいろんなことがあったなぁと懐かしい。もちろん、残念な出来事も、悔しくてならない敗戦もあったはずなのだが、頭に浮かぶのは、目に焼き付いているのは、ワクワクした思い出と、ウキウキするような場面ばかりなのが不思議だ。

 個人的に、強く印象に残っているのは、初のACL出場を決めた2010年12月4日のこと。
試合自体もそうだが、試合後に鹿島アントラーズの結果を待っている時のドキドキ感、そのあとの歓喜の輪、そしてリーグ終盤からの「キンチョウクライマックス」と銘打った告知展開とチーム状態が見事にシンクロしたことも、すべてがうれしく誇らしい。
【金鳥スタ5年間の思い出フォト】2010.12.04 キンチョウクライマックス!ACL出場権獲得! 
 
 ベストシーンは、やはりこの写真かな、と思う。
もう何の説明もいらない(笑)。こんな場面を、もっともっと見たい。

 キンチョウスタジアムは、オープン当初から、「クラブ、チームとサポーターの皆さんとで作り育てていくスタジアム」として変化してきた。ゴール裏のホームサポーター席のボリュームが増え、メインスタンド、バックスタンドの座席をリニューアル…少しずつ改修が加えられて、現在に至っている。今後も、そのコンセプトは変わらない。あるべき姿に向かって、今後も進化していくはずだ。

 2015年、セレッソはJ2リーグを戦っている。現在4位と、自動昇格圏には届いていない。中位争いは混とんとしており、シーズン最後まで厳しい戦いが続くだろう。しかし、進化するスタジアムとともに、チームもクラブもきっと成長を続ける。5年後、10年後、このスタジアムがどう変わっているか。そしてセレッソ大阪はどんな歴史を刻み、どんな未来が待っているのか。ポジティブな気持ちを忘れたくない。

文・横井素子


◆横井素子 プロフィール
奈良県奈良市生まれ。広告代理店勤務のあと、フリーランスの編集・ライターとしてセレッソ大阪の広報ツールの制作などに携わる。
1999~2000、2008~2011年はセレッソ大阪トップチーム広報担当、現在はセレッソ大阪堺レディース広報担当、セレッソ大阪公式ファンサイト編集責任者を務める。
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