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第4回 2012年11月2日、運命が動き出した

 セレッソのレディースの運命が大きく動き出したのは、2012年のこと。活動3年目にして、次年度(2013年度)からのチャレンジリーグ加盟を申請したのだ。関西から全国へ、活動の場を広げ、さらなる飛躍を期しての挑戦だった。

 そして、2012年11月2日、時之栖スポーツセンター裾野グラウンドで行われたチャレンジリーグ入替戦予選大会。セレッソ大阪レディースはチャレンジリーグ昇格を懸けてノルディーア北海道と対戦した。相手は大人のチーム、こちらは全員中学生。試合は45分ハーフで行われたが、選手たちにとって90分間の試合はそのときが初めてだった。

 前半15分に先制したが、追いつかれて迎えた終盤。相手のオウンゴールで再びリードを奪い、逃げ切りにかかった。が、80分を過ぎたころから、ガクッと運動量が落ちた。それでも、全員で守りきって2-1で粘り勝った。
 体格、体力では劣っていたが、ボールを扱う技術とサッカーのコレクティブさにおいては相手を上回って見えた。なにより、目の前の目標に挑むひたむきさがビシビシと伝わってきた。「一発勝負」に見事勝って、2013年からのチャレンジリーグ昇格が内定。未来が大きく開けた瞬間だった。
2012年11月2日、チャレンジリーグ入替戦予選大会に勝ち、チャレンジリーグ参入を決めた。

【その後】
 私がレディースの試合を観たのはこの時が初めてでした。とにかくひたむき、損得関係なく最後まで頑張る姿に胸を打たれました。すでに「レディースは、基本アカデミーの組織で育った選手のみでチームを作る」という方針が打ち出されていて、この試合を取材してくださった記者に話すと、「本当ですか?そんなことあり得ないのでは…」と、すぐには信じてもらえなかったことを覚えています。

文・橫井素子