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第5回 将来のキャプテン・林穂之香
 
「試合内容ははっきりとは覚えていません。自分が点を取ったことと失点のシーン、後半がキツかったというイメージしかないです(笑)」
 2012年11月2日のチャレンジリーグ入替戦予選大会のノルディーア北海道戦(前回 参照)について、こう振り返るのは林穂之香。この試合で先制ゴールをあげたのが当時中学2年生だった林。松原志歩の1つ年下で、2期生として加入した選手だ。京都府宇治市出身で、小学6年生までは地元のクラブチームでプレーしていた。

「中学に入ってもサッカーを続けるのが普通だと思っていました。やめるという選択肢はなかったです。セレッソのセレクションに落ちたら地元のチームにと思っていましたけど、絶対に入りたかった!(セレッソがいいと思ったのは)そのとき感じていたイメージです。トレセンに参加した時も、京都のチームより大阪のチームが強かったですし、セレッソの1期生の人たちが大阪トレセンのメンバーに何人かいて、いいなぁと思っていました。セレクションに受かった時はうれしかったです」

 中学1年のときから少しずつ試合に出始めた林は、中学2年時にはポジションをつかみつつあった。
「(セレッソに入った当時は)いつも目の前のことしか考えていなかったです。ぼんやりとこの先どうやっていこうというのはあって、ずっとセレッソでやっていくんだろうな、という思いはありました」
 ステップアップしていくチームにあって、選手たちも年々成長を続けていくのだが、林はその象徴的な存在といっていいだろう。チームに欠かせない存在として、現在に至っている。


運命の一戦でゴールを決めたのが林穂之香。試合後の整列では、中央で笑みを見せている。

 【その後】
「プレーのアベレージが非常に高い選手だなあ」というのが林穂之香から受ける印象です。ボランチというポジションで、常に85点(100点満点で)以上のパフォーマンスができる、チームにとってとても貴重でありがたい存在。普段は物静かで言葉数は少ないけれど、しっかり意思表示はできるタイプ。今シーズン(2019年)もキャプテンを務めています。

 文・橫井素子