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第11回  夢を断たれた2014年の最終戦

 翌シーズン(2015年)から、日本女子サッカーリーグの再編が決まっていた。なでしこリーグ1部、なでしこリーグ2部、チャレンジリーグの3部制に変更され、2部に所属するためにはチャレンジリーグ14チームの中で12位以内に入らなければならなかった(2部に上がれるのは10チームだが、7位のJFAアカデミー福島、8位の常盤木学園高校は昇格の意思がなかったため)。13位以下ならチャレンジリーグに残留となり、実質は1つカテゴリーを落とすことになる。

「あれはきつかったですね。苦しかった」
監督(当時)の竹花友也が振り返るのは、最終節の福岡J・アンクラス戦。選手たちものちに「忘れられない一戦」にあげる試合だ。ホーム・南津守さくら公園スポーツ広場で行われたこの試合で、自分たちが目指すサッカー-攻撃的なディフェンスからボールをしっかりつないでゴールに向かう-で挑んだが、フィジカル勝負に出てきた相手に出鼻をくじかれた。前半17分に先制されると、自陣に下がって守りを固めた相手に苦戦。体をぶつけられ、ロングボールを多用する戦いを徹底されると厳しかった。相手も勝てば「2部昇格」を果たせるのだから必死だった。終盤に追加点を奪われ、0-2で敗れた。

「プレッシャーのかかった試合で力を発揮することができなかった。経験不足が出てしまった」(竹花)。それまで実力が上のチームと対戦することが多く、守ってくる相手をどう攻めて崩すか、という経験がほとんどなかった。これも貴重な経験であった。

 結局、5勝3分14敗で勝点18、順位は14位。勝点3ポイント足りず、なでしこリーグ2部への参加はできなかった。号泣する選手たちの胸には、「来年こそ」の熱い気持ちがわき上がっていた。

悔しく、悲しかった2014チャレンジリーグ最終戦。この涙が、未来につながった。

【その後】
 号泣する選手たちを前にシャッターを切り続けるのは、心痛い経験でした。それでも、この場面は残さなければ…と思った記憶があります。2014年チャレンジリーグ最終節の福岡J・アンクラス戦は、本当に悔しかった。でも、あの試合があったから、今がある。この写真も成長過程のひとコマです。

文・橫井素子