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ちふれASエルフェン埼玉との入替戦

 なでしこリーグ1部昇格を懸けた入替戦は、ホーム&アウェイの2試合。初戦は2017年12月9日、セレッソのホームゲーム。第2戦は1週間後の12月16日にアウェイで開催された。

 しばらく公式戦から遠ざかっていたこともありコンディションが心配されたが、選手たちの意気込みがそれをカバーしていた。ゲームキャプテンの林穂之香は、「入替戦の2試合で、来年今よりレベルの相手と試合ができるかどうかということが決まるので、この2試合に全力をぶつけたいと思います。皇后杯で浦和レッズレディースと対戦(2017年11月11日@藤枝総合運動公園サッカー場 ●0-2)して、レベルの違いを肌で感じ、そういう相手と対戦したいと思いました」と語った。

 ユニークだったのは松原志歩。試合前日、「入替戦を前に、ワクワクしています。1年間の中で一番大事な試合だと思っていますし、1年間やってきたことをいつも通りしっかり出せるように、そして楽しんでプレーしたいです。初戦が大事だということは全員がわかっています。勝つことだけを考えて頑張ります」と、コメントしたあと、「早く試合がしたいんです!今日なんていらないから、早く明日になってほしい!!」と絶叫。はやる気持ちが抑えきれない様子が微笑ましく、頼もしかった。

 12月9日、会場のJ-GREEN堺S1メインフィールドの風は冷たかったが、スタンドには973人ものファン・サポーターが来場して、圧倒的ホームのムードを作り上げた。クラブハウスの2階にあるハナサカクラブ会員の応援席からも声援と拍手が起こり、桜なでしこたちを迎えた。「来てくれたたくさんの人たちのためにも絶対に勝とう」。選手たちはと声を掛け合い、ピッチに登場した。

 開始からセレッソが主導権を握った。コンディションもよく、モチベーション高く保たれていたことで、セレッソらしいサッカーを展開。積極的にボールを追い、連動しサポートし合ってボールを動かしていった。19分に矢形海優がファインゴールをあげ、リードを奪った。押し込まれる時間帯もあったが、16歳のGK山下莉奈のスーパーセーブ、センターバックの筒井梨香の力強いはね返し、同じくセンターバックの松原優菜の冷静なカバーで切り抜けた。

「ここ5年間やってきた経験だと思います。今までは、相手のセットプレーやロングボールに対応できずに追いつかれてしまうということがありましたが、今回は自分たちでしっかり声を掛け合っていましたし、体を張っていました。ゴール前の守備と前線からの守備の使い分けも、しっかりできるようになってきたのかなという気がします。頼もしく感じました」(監督の竹花友也)。大事な試合で、今までの積み重ねをしっかりと出しきることができた。無失点での勝利は、アウェイゴールルールを考えると大きなアドバンテージになった。


ホームで先勝、勝利のジャンプで喜ぶ選手たち

【その後】
 奇しくも今シーズンの入替戦のタイミングで、2017年の入替戦の記事を掲載することになりました(表現がややこしいですね)。「昇格」という結果は同じでしたが、2017年と2019年、まったく違う様相の入替戦になりました。スリリングで昇格が決まれば最高にうれしい戦いですが、今度は昇格→定着といきたいものです。

文・横井素子