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2017年入替戦、アウェイでの2戦目

 初戦の勝利  により、引分けでも昇格が決まるが、「選手たちは勝つ気満々ですよ」と監督の竹花友也。「たくさん点を取るというのがこのチームの特徴。しっかり点を取って、勝ちたいです」(林穂之香)と、意気込んで敵地に乗り込んだ。

 試合前のロッカールームでは、トップチームの選手たちのメッセージが入ったフラッグが披露された。柿谷曜一朗、山口蛍、杉本健勇、丸橋祐介…憧れの選手たちからの激励に、歓声が上がった。「トップの選手も、クラブのスタッフも、みんなが応援してくれている。勝って、昇格を決めよう」(竹花)。セットプレーの確認を行った磯上まみGKコーチは、「守るのはレディースのゴールじゃない。セレッソのゴールなんだよ!」と締めくくった。

 この試合では、入替戦第1節で決勝点をあげた矢形海優がケガのため欠場を余儀なくされた。遠征には同行したが、スタジアム入り後に監督からメンバー外を伝えられた。泣きはらした目をこすりながら、スタンドでビデオ撮影を担当した矢形。17分に先制ゴールを決めたのは、代わって先発出場した野島咲良だった。矢形はジャンプして、ピッチに手を振って喜んだ。チーム全員が1つになって戦っていた。

「先に1点取れば、相手は3点必要になる」と、竹花は選手に話していた。どうしても取りたかったアウェイゴールを奪い、さらに優位に立った。あとがなくなったちふれの圧力は増したが、ディフェンス陣が力強くはね返した。そして、76分には松原志歩が、アディショナルタイムには宝田沙織が自ら得たPKを決めて突き放した。


2戦2勝、2017年の入替戦を制し1部昇格を決めた!

 2試合の合計は4-0、堂々の勝利そして1部昇格決定だった。冬晴れの空に歓声がこだました。何をしても勝てない、もがき続けたときも走り続けた。自分たちの力を信じて、ひたむきにサッカーに打ちこんできた。サポーターの声に支えられ、トップチームの選手に励ましてもらい、自分たちの手で新しい舞台にたどり着いた。
 しかし、浮かれている選手はいなかった。今以上に厳しい、レベルの高いところでプレーするためには、もっと成長しなければ…ということは、誰もがわかっていた。

 【その後】
 2017年の入替戦を振り返って、そして今年(2019年)の戦いを反すうして、入替戦とはドラマチックだけど、なんと残酷な戦いなのだろう…と思わずにはいられません。2019年はアウェイゴールルールによって決まった昇格。前回とはまた違った気持ちで、来季なでしこ1部の戦いに挑みます。

文・横井素子