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過渡期を迎えたガールズ

 2018年、セレッソ大阪堺ガールズがチャレンジリーグ入りを果たしたことで、セレッソ大阪堺レディースとともに2つの「トップチーム」を抱えることになった。ガールズの指揮を執る岡本三代(当時)は、
「サッカーの質や内容について上を目指しているチームの集団なので、対戦相手が大人だったり同世代だったりという違いはありますが、選手にとっての試合環境という点では、シビアな試合が毎週できるのは、関西リーグとまったく違う。チャレンジリーグのレベルでこの年代からプレーできるというのは、ベストな環境かなと思います」
と、チャレンジリーグ参入の意義を説明した。

 リーグが開幕すると、やはり厳しい戦いが待っていた。かつてレディースが直面したときと同じように、フィジカル、体格、経験の差がガールズの選手の前に立ちはだかった。
「選手同士、試合に勝った負けたというところで、いろいろミーティングをしています。ガールズは、上は20歳、下は中学2年生と年齢幅が広いです。(年長の)西中麻穂、宮本光梨たちも積極的にやってくれていますが、難しい面はあります」(岡本)
 チャレンジリーグWESTの15試合を終えて、4勝1分10敗で5位(6チーム中)、総合順位を決めるプレーオフで10位(12チーム中)となり、辛くもチャレンジリーグ残留を決めた。


2018年チャレンジリーグ初年は予想通りハードなものに。写真は第5節の吉国大C戦。

「これまで走ってきて、チャレンジリーグでやれるようになった。今は過渡期というか、今後のことを考えるといろいろ悩ましいことはあります。今後、ガールズをどういう方向性で編成していくのか、外から補強しないということを考えると、選手を育てていく環境も重要です。現場だけではなく、クラブとして考えておかないといけない。
 今、セレッソは西日本の女子チームを引っぱっていく立場になりつつあります。(発足から)10年足らずでこういうポジションに来たということは、本当にすごいことです。チームの実力も、クラブの組織もしっかりしている。特に組織の基盤というところでは、なでしこ1部のなかでも一番といっていいんじゃないですかね。だからこそ、どこへいっても注目されます。いい意味でも、逆の意味でも。次にセレッソは何をやってくるのかと、注目されています。それだけに、将来を考えてどうしていくのか、というのは時間をかけてしっかりと考えないといけません。でも、急がないといけないことでもあります」
と、岡本は言う。選手の成長と頑張りで手に入れたチャレンジリーグの舞台。かけがえのない経験をチームの、選手の未来につなげるために…知恵を絞り、模索する作業が続いていく。

 【その後】
 1年目をチャレンジリーグ残留という結果で終えたガールズは、今季も苦戦を強いられました。大人のチームとの真剣勝負、レディースとのメンバーのやりくりもあるなかで、順位決定プレーオフで10位となり、来季もチャレンジリーグで戦えることになりました。レディースとともに、ガールズの未来にも注目です。

 文・横井素子