自分が一番好きなチームはセレッソ
「行ってよかった」と思ってもらえるような活躍を!

南野拓実(ザルツブルク)

 移籍決定は突然のことだった。今年1月6日の早朝、「南野拓実選手がオーストリア・ザルツブルクへ完全移籍」のニュースリリース、と同時に出発。サポーターに直接メッセージを伝える時間もないままのあわただしい「お別れ」になった。
 5月から6月の舞洲は、ヨーロッパでプレーするOBたちでにぎわった。かつてのチームメイトと楽しげに語り合ったり、同じピッチで汗を流したり…そんな輪の中に、南野拓実選手の姿もあった。古巣に帰ってきた南野選手に、半年ぶりに話を聞くことができた。海外挑戦の手ごたえ、リーグ優勝の喜び、そしてセレッソ大阪への思いがつまったインタビューをどうぞ…。


■ヨーロッパに渡って約半年。今の率直な気持ちは?
「自分としては、行くからには何かを勝ち取って帰って来たいと思っていました。何か自分でつかんで、結果を残して…と。ザルツブルクで優勝できて、それはいい経験になりましたし、試合にもコンスタントに出場することができました。自分としては、手ごたえを感じました。優勝というのは、誰もが得られるわけじゃなく、サッカー選手としてはすごく重要なもの。それを味わえたことはよかったです」

■ザルツブルクのサッカーとは?その中で南野選手の役割は?
「基本、サイドでのプレーを左右どちらもやりました。チームはアグレッシブなサッカーで、ボールを奪われたらすぐにどんどんプレスをかける。取ったら、そこからカウンター。前へ前へというサッカーで、自分のスタイルと合っていると思いますし、やっていてすごく楽しいです」

■移籍先として、ザルツブルクを選んだ理由は何ですか?
「環境も問題ないですし、若い選手が多くて、『ここからステップアップしてやるぞ』という貪欲な選手がいっぱいいます。自分としても、そういう環境に身を置くことが一番成長できるなと思ったし、そういうところでやってみたい!と正直に思って、決めました。若い選手はホント多くて、みんないろんな思いを持って来ています。ヨーロッパですから、常に見られているし、誰が見ているかわからない。実際そこからステップアップする選手がいますから」

■セレッソを離れる決意をするのは、難しくなかったですか?
「いや、もう、それは…すごく…申し訳ない気持ちと悔しい気持ちがありました。僕はセレッソに何も残していないし、自分が一番好きなチームはセレッソです…でも、この短いサッカー人生の中で、(海外へは)何度も行けるものではない。チャンスがあったら、そこへ飛び込んでいくという、自分は小さい時からそういう性格でした。それでも、移籍を決断するには、本当にいろいろな気持ちがありました。でも、行って、自分が活躍することで、サポーターの皆さんやセレッソに携わっている皆さんに、『行ってよかったね』と言ってもらえるように頑張ろう、と今は思っています」

■悩みましたか?
「すごく悩みました。家族とか、いろいろな人に相談させてもらったなかで、『サッカー人生は短いし、チャンスはそんなにない』と背中を押してくれる人のほうが多かったです。自分も行きたいという気持ちが強かったので…」

Vol.3【後編】につづく

構成・文 横井素子
インタビュー:6月21日