みんなが同じ方向を向いて、イレギュラーなことも乗り越えていく

大阪サッカークラブ株式会社 強化部部長 大熊 清

 明治安田生命J2リーグ全42試合のうち28試合が終わった。セレッソ大阪の成績は現在勝点45の4位。目標とする自動昇格(2位以内)までの勝点差は6となっている(第28節終了時点)。
夏にカカウ、フォルランという2人の外国籍選手が退団、長谷川アーリアジャスールがスペインリーグに移籍。そして、先月末にはエジミウソン、マグノ クルスが加わった。戦力が入れ替わる中、現況をどのように分析し、残り試合に挑むのか。チームを統括するこの人に聞いた。
Vol.5【前編】よりつづく


前節(第28節)の千葉戦では、エジミウソン選手が先発で起用されました。新戦力について、監督とはどのようなコミュニケーションを取られましたか?
「(獲得に当たっては)かなりの人数をリストアップしながら、日本の暑さやシーズンの違いを考え、性格などいろいろな情報を収集して、最終的には監督が一緒にやっていたり、日本を知っていたりという選手がなじみやすいだろうというところで獲得した選手たちです。今、彼らはチームにうまくフィットしていると思います。ただ、これが(試合に出る)11人になったところでは、時間の共有はまだ少ないから、千葉戦も私の目からすると、裏に走るのは誰なのかというすり合わせというか、コンビネーションのところはまだかなというのはあります。でも、誰かがケガを…という可能性はあるかもしれない世界です。そのときにどういうシフトを取るのか、どう考えていくのか、というところで補強しました。この暑さと連戦なので、昨シーズンの(山口)蛍のように中心選手がいなくなったときにガタッとこないような編成をしたつもりです。まだそんなには時間が経っていないので、監督も、イメージと実際に使ってみてというのはまったくイコールかというのがまだわからないところもあると思います。やっていくなかで生まれるものもあるし、『やっぱりこれは違ったんだな』というところも出てくる。いいところを伸ばしていって足りないところを補っていく、ということが大切かなと思います」

■千葉戦は、マグノ クルス選手のゴールで追いつき、引き分けました。
「勝ちきれなかったけれど、あれだけ守備を固めた千葉に対して追いついたというのは、ある程度評価できると思います。でも、全体的にボールを握られたり、反省する部分もあるし、前半戦で多かったセットプレーからの失点をまたしてしまった。そこはちょっと残念かなという思いです。でも、よくアディショナルタイムで同点にして、ある意味で(マグノ クルスが)救ってくれたかなと思います。なかなか日本に来てすぐに点は入れられないものなので。彼が入って、いい意味で時間を作れて厚みが出たというか、相手があれだけ引いて守ったら、なかなか点は入らないものなんですけど…やっぱりその辺は持っているなと思いますね」

■土壇場で追いついたというポジティブな考え方で、次に向かってほしいです。

「次の試合(第29節・岐阜戦)もホームでできるし、これからは勝ちきっていかないといけない。1人1人が気持ちをしっかり思って、それをチームとしてまとめる。コンディションの部分でもそうです。そうしないと、なかなかこのリーグを勝ち抜くことはできないです。試合数が少なくなると、だんだん焦りも出てくるだろうけど、今までの土台や積み重ねがあって、またメンバーが変わって、ここからの残り3分の1、本当に大切なのかなと思っています」

■最後は総力戦になると思います。若い選手にも頑張って出てきてほしいですね。
「みんな力はついてきているし、永井(龍)も(秋山)大地も期限付き移籍から力をつけて復帰してすごくよくなっているので、自分の力で勝ち取ってもらいたいです。手助けはできるけれど、最後は自分なので…。
 ここからは総力戦になってくる。11人で戦っているわけではなく、18人で戦っているのでもない。本当にみんなが同じ方向を向いて、いろいろなイレギュラーなことも乗り越えられるかというところだと思います。結束するというところが大切。そこでしょうね」

■サポーターの皆さんにメッセージを。
「セレッソのサポーターの皆さんには、本当にありがたいという思いしかありません。アウェイにもたくさんの方が来て応援してくださるし、もちろんホームでも、いつもセレッソを愛してくれて本当に熱心に応援してくださっている…。本当にありがたいし、自分たちも勝負に純粋さを持って、その気持ちに応えなくちゃいけないなと常に感じています。チームも勝つために愚直にやる、そうならないと。逆境やイレギュラーに弱いところが、去年も今年もあったかもしれない。安定感は少しずつ増してきているので、勝ちを手繰り寄せて、逆境に強いチームになっていかないといけない。どうしてもサポーターの皆さんの思いに応えないといけない。自動昇格に向けてやっていくという監督の考えはまったく変わっていないので、残り3分の1も一緒に戦っていただけるとありがたいと思います」

構成・文 横井素子
インタビュー:8月13日