復帰後は、
背番号9に見合う活躍を!

 8月29日の天皇杯1回戦、FC大阪戦。相手選手とのコンタクトプレーで左腎損傷という重傷を負った。
 入院加療、自宅療養を経て、舞洲に帰って来た永井に、負傷のこと、復帰を目指す現在の心境を聞いた。
Vol.10【前編】よりつづく


■永井選手は、オーストラリアのパース・グローリーFCでもプレーしています(2012年10月~2013年)。以前から海外志向はありましたか?
「パースには、1年半ぐらい行きました。もともと海外でやりたい、日本ではないチームでプレーしたいという思いがあって、希望はクラブには伝えていました。それで、パース(グローリーFC)から話があるというのを代理人から聞いて、セレッソでは試合に絡んだり絡めなかったりという時期だったので、若い時に行きたいという思いから移籍を決めました。
 その時も期限付き移籍でした。今シーズンの大分への移籍もそうでしたが、セレッソで試合に出られないのは悔しいけれど、完全移籍してしまったら心残りもあるし後悔もするだろうと思ったからです。またセレッソに帰ってきた時に、自分の成長を見せたいという気持ちがありました」

■オーストラリアに行ってよかったと思いますか?
「よかったですね。日本と比べて、いいところも悪いところもありましたけど、気持ちというか、これでメシ食っていくんやというハングリーさはすごく感じました。セレッソはみんな仲がいいんですよ、それは良さでもあるけど悪さでもあります。仲がよすぎて、それがサッカーにも出てしまうというか…。向こうでは、結構仲がいい選手同士が練習中にガツガツいって、お前何やねん、みたいなことがあるんです。年上とか年下とか関係なくて、周りが止めるほどの激しさなんです。でも、あっさりしていて、練習が終わったら、ゴメンゴメンみたいな感じで引きずらない。ここ(セレッソ)では、そういう激しさはないですから」

■言葉は、問題なかったですか?
「英語の勉強は全然していなくて、中学・高校と英語が一番苦手科目やったんです。勉強しておけばよかったなと思いましたね。向こうで暮らして、ある程度は話せるようになりました。今も英会話学校に通っているんですよ。覚えた言葉を忘れないように、週1回行っています」

■オーストラリアから帰って来た2014年初め、背番号9をもらった時はうれしそうでした。
「メッチャうれしかったです。でも、ちょっと複雑でした。帰ってきたばかりで、サポーターの人たちの中には『まだちょっと早いじゃないの?』と感じる人もいるだろうと思いました。自分でも、活躍してから…と思っていた番号をこんなに簡単につけていいのかなと思ったけれど、それ以上にうれしかったですね。
 今、セレッソの9番をつけているということはすごいことだと感じています。セレッソの9番は、点を取る人というイメージ。生粋のストライカーがつける番号ですよね」

■背番号に見合う活躍をしなければ…と?
「本当にそう思います。自分でもそう思いますけど、周りから見てもまだまだやと思われているはず。9番なら、最低でも2ケタ得点、チームで一番点を取っているのが9番でないといけないと思っています」


負傷した天皇杯1回戦 FC大阪戦

■リハビリ中の今、どんなふうにチームを見ていますか?
「自分は動けないので、歯がゆいです。じゃあ何ができるかというと難しいですけど、今自分ができるのは声を掛けたりだとか…。見ていて心配な気持ちもありますけど、僕は信じてみんなを応援することしかできないです。でも、自分がピッチでプレーしていた時よりも、みんなとコミュニケーションを取れている部分はあると思います。堅い話はしないですけど、『最近、調子どうですか?』とか『あのシーン、こうでしたよね』など、自分から声を掛けたりもします」

■復帰を含め、今後に向けた気持ちを聞かせてください。
「僕にできるのは、チームをまとめることじゃない。まったくそういうタイプじゃない。指示してまとめて、いいパス出して、というのは僕にはできない。ホンマに点を取るだけ。それでチームを助けたい。
 来シーズン、セレッソはJ1にいると信じています。そこで点を取れる選手にならないといけないです。セレッソ生え抜きのユース育ちの選手で、ホンマにストライカーというのは、ヘタでもメッチャ点取るな、みたいな選手は自分しかいないと思います。そういう選手が活躍して、点を取ったら盛り上がるだろうと思いますし、期待されているのもわかります。『ずっと応援してるから頼むで』と言ってくださる人たちのためにも、頑張らないといけないです」

■大変なケガをしたからこそ、復帰して頑張っているところを見せたいですね。
「お医者さんにも『よく生きていた』と言われたぐらいのひどい状態だったらしいですから、本当にラッキーだった。プロになってから、1年を通してよかったと思えるシーズンはまだないので、来年はいいシーズンにしなければと思っています。今はコンディションを戻せるように、頑張るだけです」

構成・文 横井素子
インタビュー:11月5日