あと2試合、自分が帰って来たことを証明するチャンスがある

 「今年1年でJ1に上がって、みんなで喜んで1年を締めくくれるようにしたい」。開幕前のインタビューでそう語り、強い決意とともにスタートした今シーズン。セレッソ大阪に戻ってきた背番号8にとって、試練の1年になった。6月8日のV・ファーレン長崎戦で負傷、手術と長期のリハビリを経て、リーグ終盤に復帰を果たした柿谷曜一朗。J1昇格プレーオフを眼前に、何を思うのか。


J2リーグ第40節・愛媛戦 で復帰して3試合に出場しました。現在のコンディションは?
「実際、まだ100%というわけではないけれど、試合をしていくなかで少しずつよくなっています。自分自身ではあとは感覚の問題だと思っています。(5カ月のブランクがあって)コンディションを100%に持っていくことは難しいというのはわかったうえで、ドクターたちと話をするなかで『試合をするなかで上げていこう』と言いました。まず試合勘を取り戻したかったので」

■きつくなかったですか?
「体的にはきついかもしれないし、足とかには今まで以上に負担はかかるかもしれないけど、そんなことは言っていられない。あと2試合だから。と言っても、別に無理はしていないです。経過が思ったよりよかったので。(復帰戦の)愛媛戦は途中からで短かったから問題なかったし、(90分出た)ヴェルディ戦 も大丈夫だった。(監督からは)『交代するか?』と聞かれたけど、2-0だったし、とりあえず90分間ピッチにいる感じをつかみたかったから。さすがに5カ月離れた経験は今までなかったので、どんな感じかなというのがありました」

■5カ月の負傷離脱…今、振り返ってみてどうですか?
「うーん、つらかった。つらかったし、申し訳なかったから…早く、ちょっとでも早くええコンディションにして、最後のところでええところをもっていけたらいいかな、と思いながらリハビリをしていました。もし1位か2位で今を迎えていたら、もう今年は試合はないし、サッカーはできなかった。そこは俺的にはポジティブにとらえているかな。もし、プレーオフがないままに昇格が決まっていたら、『今年、曜一朗がセレッソで頑張ってくれたな』という印象が、サポーターのみんなには残らなかったやろうな、と。まだ2試合、俺が帰って来たことを証明するチャンスがあるんや、とポジティブにとらえてやるしかないと思っています」

■試合を離れている間には、遠征に向かうU-23の選手にも声を掛けるなど、キャプテンとしての行動がしばしば見られました。
「暇やったから。ここ(クラブハウス)にいてもすることがない時も多かったし(笑)。リハビリの間とか、ずっと寝転んでいるだけのときもあったり…でも別に大したことは言ってないですよ。家にいるときが一番しんどかったかな。クラブハウスにいるときは気にならなくても、家でなにもすることがないときはつらかった。あとは試合に負けたとき…ホームの清水戦(10月2日@ヤンマースタジアム長居)に負けたぐらいからなにかおかしくなって…もちろん選手には声を掛けていろいろ言ったけど、自分がピッチ上で言うことはできなかった。あの試合のあと、清水のほうは上がっていって、反対にセレッソは苦しくなっていった。みんな頑張ってはいたけれど、自分の中に『ホンマにみんなJ1に上がりたいんか?』という思いが出てきました」

Vol.18【後編】につづく

構成・文 横井素子
インタビュー:11月23日