今シーズンもセレッソ大阪のキャプテンは、この人、柿谷曜一朗選手。
昨季は思わぬ負傷で長期離脱を余儀なくされたが、J1昇格が懸かった大一番で復帰にこぎつけ、苦しみながらもチームを目標へと導いた。
2017年、3年ぶりのJ1。開幕を前に彼は何を思うのか。
Vol.20【前編】よりつづく


 チームにはいい選手がたくさんいて、選手はみんな何をすべきかわかっているし、自信もある選手ばかり。でも、全員が1年間通していいときも悪いときもブレずに戦える集団になる、そういうチームになるには、まだまだ俺らには力がないと感じます。やっぱりガンバ大阪とか鹿島アントラーズとか、そういうチームみたいに自分たちもなっていかないとアカン。自信はあると思う、みんな。なんにも負けていない。クラブとしても、サポーターも、みんな。でも、実際に目を向けたら、目を背けられへん部分はいっぱいある。そこは胸を借りるつもりでやらないといけないです。リップサービスで「ガンバには負けへん」というようなことはどんどん言ってもいい、盛り上がるしね。でも、俺はまだまだやって思っている。ほかの選手はどう思っているか知らないけど。だけど、超える自信はあるし、同等になっていかなアカンと思っています。

 セレッソって今までもそう。チームとしてどんどん進んで行って、一気に追いつくけれどパッと離されたりする。そういうチームって、やっぱりしんどいと思う。おもしろいかもしれへんけど。常にいちばん上のところでやれるチームにならないと。そうじゃないから、『チームの土台がない』と言われると思う。

 尹晶煥監督が来て、じゃあ誰が付いて行くねん、っていったら俺らしかおらん。尹監督に付いて行ってみて、それでアカンかったら自分たちのせいだと思う。自分は、いろんな監督と仕事をしたけど、監督がどうだからと思ったことはない。クルピのサッカー、大熊さんのサッカーって言われるけど、やっている人間が同じやからね、変わらない。尹監督にはまだ会ったばかりで、わからない部分もある。選手としての部分も知っているし、現役時代も見ていて覚えているけど、まだよくわからない。いい人やと思う、いろんな選手ともしゃべるしね。

 今年はJ1だし、ルヴァンカップもあって若い選手のモチベーションも高い。注目される試合が多いっていうのは確かだし。久しぶりのJ1、J1のほうが知っている選手も友達も多いし(笑)、やっぱりJ1はいい。メッチャ楽しみ、というか、メッチャ点取りたいし、盛り上げたいと思う、セレッソを。そのためには、俺らはやらないとアカンのは当たり前。今年どうかしたいというよりも、この先どういうセレッソになるのかという方向性をはっきりさせる、する、そうしたい。さっき言ったように、ずっと長く強いチームであり続けるための1年にしたい。いろんなチームをお手本にしないといけないし、それが俺らのチームには欠けてたんやな、って。ちょっとよかったら慢心してしまうのは、俺らも悪いんだけどね。1回やったからこそ、もう2度と同じことはしない、それを知っている俺らが伝えられるものがあると思っています。

 キヨ(清武弘嗣)とは、今日の練習試合で帰ってきて初めて一緒にサッカーやったけど、俺がもうちょっとコンディション上げたいなと思った。キヨもまだコンディション上がっていないと思うし、これからしっかりやっていけば、もっといい関係でできるかなと思う。ホンマに手ごたえはある。(山口)蛍もいるし、蛍が一番いろいろ考えてるんじゃないかな、俺とキヨと(杉本)健勇がぐちゃぐちゃにしているのを、掃除するのは蛍やから(笑)。蛍もそうやけど、健勇も口だけじゃなくて、自覚を持ってきた。去年の活躍がまぐれじゃないことを、今年は証明してもらわないとね。

 今はやっていて楽しい。でも自分が21歳とか22歳とかやったら、和気あいあいとだけやればいいけど、もっと視野を広げなアカンと思っています。頭の中とか、気持ちの部分では16歳のころと変わっていないけどね (笑)。


構成・文 横井素子
インタビュー:2月8日@宮崎キャンプ