就任初年度の昨シーズンは、ルヴァンカップと天皇杯で優勝、J1リーグ戦では最後まで上位争いを演じての3位と、華々しい結果をおさめた。
 今季初の公式戦である「FUJI XEROX SUPER CUP 2018」でも強さを見せつけて勝利し、2年目への期待は膨らむばかり。AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも躍進が期待されるなか、尹晶煥監督に話を聞いた。

勝利に対する欲と団結力。
それが昨季の成績をもたらした。

■タイ、そして宮崎でのキャンプを経ていよいよ始まります。キャンプでの様子はいかがでしたか?
「今年の初め(1月1日)にシーズンが終わったので、私たちの休息の時間は短かったです。練習する時間も不足していたのかな、と思います。
 キャンプでは、選手のコンディション調整ということを重点的に行いました。いよいよシーズンが始まりますが、どのような状況になるかどうかは正直わからないです。ただ、精神的にも、肉体的にも十分準備はできたと思います」

■新しい選手が10人入ってきました。クラブといろいろ話し合って獲得されたと聞きました。監督にとって、満足いく補強でしたか?
「100%満足かと言われるとそうではないですが、十分な補強ができたと思っています。既存の選手が、昨シーズン本当に頑張ってくれたので、それを1つのパターンとして、新しい選手たちがしっかり合わせていく必要があると思います」

■新しい選手たちはチームに溶け込んでいますか?
「時間は短かったのですが、チームの雰囲気が本当によく、今までいた選手も新しい選手が溶け込めるように努力をしてくれましたし、新加入の選手たちも溶け込もうと本当に努力してくれました。いい雰囲気でここまで来られたと思います」

■昨シーズンのチームに新しい選手を加えて、どんなチームを作っていこうというイメージはできあがっていますか?
「そういう考えをもって選手を補強しているので、大きな問題というのはないと思います。準備期間が短かったので、新しい選手がいかに早く戦術的な理解ができるかがポイントになります。(キャンプでは)個人面談を行いましたし、多くの試合ではないですが、数試合をこなす中でうまく融合してくれると考えています」

■今シーズンは、ハードなスケジュールも大きな問題です。
「それも考えて選手を補強しました。U-23の選手も含めて、どれぐらい活用することができるかというところが大事ではないかと思います。すべての選手を活用していくということを考えています。シーズンが始まれば何が起こるかわからない。ケガ、累積警告、様々な状況が起こりえます。急に出番が出てくることもあり得るでしょう。だから、すべての選手が準備しないといけないのです」

■昨シーズンは、すばらしい成績を残すことができました。今まで二十数年間できなかったことができたのは、監督から見て何が要因だと思いますか?
「正直にお話しますと、昔、自分が選手として活躍している時も、もちろんメンバーは悪くはなかったのです。昨シーズンのメンバーとこれまでの選手たちを比較して違いは何かというと、勝利に対する欲というものが強いと言えます。そして何かをしてやろうという団結力というものもありました。(柿谷)曜一朗を中心として、すべての選手がそういった意識を持った上でやってきました。ですから、今までなかった姿を見せることができました。今までだったら、負けているときは完全に崩れてしまう、そういったところがありました。昨シーズンに関してはそういった姿が一切見られなかった。選手たちが個性を生かそうとか、勝とうとする意欲が、今までとは全然違いました。それが結果につながり、優勝までつながっていったのだと思います」

■チームをそういう雰囲気に持っていくために、工夫されたことは?
「どのチームに行ったとしても、そういう雰囲気に持っていかなくてはいけないと思っています。セレッソは若い選手が多く在籍しているので、いい雰囲気になれば、いい流れが生まれてきます。1度いい流れに乗ってくれば、本当に怖いチームになります。そういった部分は本当に多く考えましたし、そのための中心的な役割の選手を作りました。彼らがしっかりやってくれたので、周囲にいる選手もつながり、(他の選手も)引き連れていったのです」

Vol.21【後編】につづく

構成・文 横井素子
インタビュー:2月7日