就任初年度の昨シーズンは、ルヴァンカップと天皇杯で優勝、J1リーグ戦では最後まで上位争いを演じての3位と、華々しい結果をおさめた。
 今季初の公式戦である「FUJI XEROX SUPER CUP 2018」でも強さを見せつけて勝利し、2年目への期待は膨らむばかり。AFCアジアチャンピオンズリーグ(ACL)でも躍進が期待されるなか、尹晶煥監督に話を聞いた。
インタビュー|Vol.21【前編】
「勝利に対する欲と団結力。それが昨季の成績をもたらした。」 

決して慢心してはいけない。
質をあげ、さらに成長を!

■昨シーズンのキャプテン・柿谷曜一朗選手も、チームを勝利に導く雰囲気をつくる役割を担った中心的な1人ということでしょうか?
「曜一朗は、キャンプの時から積極的な姿勢を見せてくれました。自分の得意なポジションではなかったと思いますが、本当に努力してくれました。それがチームの助けになり、他の選手にもいい影響を与えてくれたと思います。犠牲になってくれたし、献身的にやってくれました。本人は個人的には十分満足できる結果が出なかった、という思いはあると思います。しかし、以前はモリシ(森島寛晃)がチームの顔であったわけですが、アカデミー出身の選手としてキャプテンを務め、結果も出すことができた。誰もができることではないと思います」

■今シーズン、キャプテンを柿谷選手から山口蛍選手に代えたのは、どんな意図がありましたか?
「曜一朗には重い荷物を外してほしいという思いがありました。山口選手もアカデミー出身であり、1つ年下で、日本代表の選手です。下の選手たちを引っぱってくれる存在です。口数が多い選手ではありませんが、プレーを見せてくれる選手だと思います。曜一朗とはまた違った色を出してくれると思います。そういった期待をしています」

■新しい選手たちはチームに溶け込んでいますか?
「時間は短かったのですが、チームの雰囲気が本当によく、今までいた選手も新しい選手が溶け込めるように努力をしてくれましたし、新加入の選手たちも溶け込もうと本当に努力してくれました。いい雰囲気でここまで来られたと思います」

■「FUJI XEROX SUPER CUP 2018」のあと、すぐにACLが続きます。どういう戦いをしますか?
「私自身は初めての大会ですが、チームには経験のある選手がいます。ただその経験が苦い、その年(前回出場した2014年)にJ2に降格したということで、いい経験ではなかったですが…。
 ACLに関しては、序盤の2,3試合が本当に重要になると思います。まずは基本的にリーグ戦を中心に見据えて戦っていこうと考えています。もし序盤で結果が付いてくることがあれば、他の選手もしっかり活用できるかと思います」

■ACLとJ1リーグが並行して行われる期間は、ターンオーバーも考えているということですか?
「そういうこともあると思います。特にブリーラムのアウェイ戦(MD3:3/6)、広州恒大とのアウェイ戦(MD6:4/17)での試合は日程が詰まっているので、(同じメンバーでは)やはりかなりしんどくなっていくと思います」

■初めてのACL、監督にとっては楽しみでしょうか?
「はい、すごく期待を持っています。ただ悩みというものもたくさんあります。Jリーグの中だけで試合をするのであれば、お互いがよくわかっていますし、その中で対策を練ることができます。ACLでプレーをするときには、体がぶつかる、コンタクトのところでラフなプレーなども出てくるかもしれません。そういう中で負傷すると、我々にとっては大きな打撃になります。その点についてはすごく注意をしなければなりません」

■これまでセレッソには「成績のよかったシーズンの次はよくない」というジンクスがありました。それを破るために、必要なものは何だと思いますか?
「選手たちには、シーズン前から精神的な部分について、いつも話しています。精神的な準備がしっかりしてこそ、グラウンドでしっかりとした姿を見せることができます。昨シーズンをいい形で持っていけたので、今シーズンも同じ結果を出せるんだというような慢心が出てくるのではないかという心配もしています。どこかにそれはあると思います。ここにいる選手には、話をしたらすべてしっかりと受け止めて努力をしてくれるので安心はしていますが、やはりみんな人間なので(笑)。それでも、いい雰囲気に持っていかないといけません。今後も、選手とのコミュニケーションは重要だと思っています」

■監督にとって、2シーズン目のチームづくりはどういうものにしたいですか?
「昨シーズンは相手を圧倒した、そういった試合はありませんでした。質の部分では、まだまだ向上しないといけない、成長しないといけないと思います。引き継ぐところは引き継いで、動きの質、パスの質、様々な質を向上させる必要があります。そうしていければ、アジアでも強いチームになっていけると思いますし、さらに世界的にもすばらしいチームになっていくと思います。昨シーズンにいい成績を出せたのは、どこかで運というものが付いてきてくれました。だからこそ、今に満足してはいけないと思っています」

構成・文 横井素子
インタビュー:2月7日