4月29日(水・祝)2015明治安田生命J2リーグ第10節
セレッソ大阪 vs 京都サンガF.C. (17:00KICK OFF/金鳥スタ)
イベント&スタジアムグルメ情報 チケット
----------

京都はこれまでの殻を破った。前節、北九州に勝利し、連敗を3で止めた京都。第6~8節の3連敗中(相手は千葉、長崎、徳島)は、1つのほころびで守備が崩れゴールを決められる悪癖が見られたが、バヤリッツァをもう一度ボランチに起用することで中央を強固にして対策を講じた。
だが、中央を堅くしたことでパスワークの柔軟さは薄くなる。北九州戦後の会見で、和田昌裕監督は「身長の高い選手が前線にいないのに、ロングボールを入れて跳ね返されているのがデータに出ている」と、これまでの戦いを指摘した。これは相手の守備に対し、ボールを奪われないように後ろからのロングボールが増えたことを意味する。北九州・柱谷幸一監督は、試合後の会見で「京都のポゼッションを意識して、何かゲームプランを立てるということはそんなにない」と発言。内藤洋平も「京都は個々の能力は高いが、戦い方は去年までとは違うものになっている」と話していた。
つまり、2011年からの「自分たちでボールを運んでゴールを目指す」京都のサッカーは、ここで消えた、と思っていい。北九州戦で見えた新しい京都は「縦へスピードアップするサッカー」となる。

北九州戦は、連敗から脱するための中央を固めた布陣にしたため、自分たちがボールを握っての攻撃では目新しいものはなかったが、ロングスローから先制点を奪うと、相手の攻撃を跳ね返して、カウンターを繰り出した。そして、追加点は山口智が跳ね返したボールを宮吉拓実が落とし、金南一から裏へ飛び出した伊藤優汰へ。それをきっかけに走り出した石櫃洋祐へ展開し、そこからのクロスに宮吉が頭で決めたもの。クリアが攻撃の起点になってゴールまでスピードが緩まない、それどころか迫力を増していった。こうしたプレーが随所に出てくることになるだろう。

京都はこれまでずっと、こうしたカウンターサッカーだった。だが、J1への昇格・J2への降格を繰り返すと、それでは壁を破れないという考えが起こる。2011年から自分たちがゲームを支配する戦いへのチャレンジが行われたが、それも結果が出せず、今季またカウンターに戻った。これから重要になるのは、高いレベルでも通用するカウンターサッカーを創造できるかどうか。この進化がなければ、これまでの歴史を繰り返すだろう。

北九州戦の手応えを、和田監督は「相手が下がりながらウチがスピードを上げるシーンが何度もあった。連動した守備から、前へ前へと攻撃していく形を出していきたい」と語る。前節の勝利と内容を今後につなげるためにも、今節の関西ダービーセレッソ大阪戦は大きな意味を持つ。「相手は個の能力がある。1本のパス、1つのプレーで状況を大きく変えられる選手が揃う。チャレンジ&カバーを心がけ、選手間の距離が大事になるし、コンパクトにして、攻守の切り替えをしっかりして、しっかりと戦いたい」と和田監督。セレッソの攻撃力か、京都のカウンターか。楽しみの尽きない関西ダービーとなりそうだ。

文・武田賢宗

プレビュー:絶対に勝たなければいけないホームゲーム。宿敵、京都と対戦