6月21日(日)2015明治安田生命J2リーグ第19節
セレッソ大阪 vs 徳島ヴォルティス (19:00KICK OFF/金鳥スタ)
試合写真・コメントなど チケット
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 ここ数年で、セレッソ大阪と徳島ヴォルティスは縁深いクラブになった。もちろんその最たる理由は、両クラブにまたがる柿谷曜一朗選手(現バーゼル)の物語があったから。ひとりの才能に満ちた若者の人間的成長が、両者の間に特別な縁を生み出したのは間違いないだろう。

 しかし、それだけではない。近年あった徳島の大きな変化にはセレッソに関係ある顔が強く関わっている。
 徳島が飛躍的に組織の質を高めた2010年には平島崇(現役引退)と濱田武(現在も徳島)がセレッソから加わりその変革を牽引したし、悲願のJ1初昇格を果たした2013年も期限付き移籍の松井謙弥(現川崎フロンターレ)が守護神として多くの勝利に貢献してくれた。そしてなにより、2012年から今季も引き続き指揮を執り、前述のJ1昇格を徳島にもたらしたのは、2005年にセレッソをJ1優勝目前のところまで導いた小林伸二監督だ。

 そのように浅くない縁で繋がったセレッソとの顔合わせ。それだけに徳島としては充実した姿で挑みたかったが、残念ながら現状そうはいかない。今季の勝利数は未だ2つで、しかも第9節から前節まで10試合にわたり白星なし。徳島は今、長いトンネルの中を彷徨ってしまっており、好転のキッカケをなかなか掴めないというのが正直なところである。
 そしてその一番の原因は、明らかにチームの得点力不足と言えよう。わずか14という今季ここまでの総得点数が示す通り、徳島はゴールを奪えないことで苦しい状況が続いてしまっている。ボールの出先へのサポートの遅さや連動性の不足、仕掛けのバリエーションの少なさなど、そこには幾つもの問題が存在していると言わざるを得ない。

 ただ唯一、ゴール前の空中戦だけは徳島も迫力を出せていると言っていいだろう。実際、前節の2点はともにそれ絡みであり、佐藤晃大や長谷川悠の高さは徳島がこの一戦でも活かしたい大きな武器。セレッソ守備陣にも空中戦を得意とする猛者がいるとあって、セレッソゴール前のエアバトルは大きな見どころになるのではないだろうか。

「セレッソには知っている選手もたくさんいますし、対戦相手にはなりますが彼らと同じピッチでプレーするのは楽しみです。長くお世話になったことへの恩返しの意味でもいいプレーを見せたい」
 そう語るのは濱田武。やはり過去長年セレッソに在籍したとあって、背番号14はこの決戦を心待ちにしているようだ。
 また小林監督も「セレッソにはたくさん知っている人がいますし、本当にいろいろな人にお世話になりました。そういう懐かしさと、指導者としていい経験をさせてもらったことなどを思い出します」とコメント。柔和な表情で昔の時間を回顧していた。しかし、すぐさま指揮官の顔に戻ると「我々以上にJ1での経験が豊富なセレッソに挑戦する気持ちをもってぶつかることで、今後自分たちが伸びていくために必要なことを学びたい」と続け、今節の一戦への熱い意欲を表した。

文・松下英樹